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セルシウス、米国で会社更生手続きを申請

暗号資産(仮想通貨)レンディングサービス業者のセルシウス・ネットワーク(Celsius Network)が13日、米連邦破産法11条(Chapter11)に基づく会社更生手続きをニューヨーク南部地区の連邦破産裁判所に提出したと発表した。

発表では、「当社は本日、事業を安定化させ、全てのステークホルダーにとっての価値を最大化する包括的な再編取引を実現する機会を得るため破産手続きに着手した」と説明した。セルシウスは現在、1億6700万ドル(約232億円)の現金を保有しているという。

取締役会の特別委員会のメンバーによると、「申立はセルシウスが先月、事業安定化と顧客保護のために出金などを一時停止したことを受けて行われたものだ。一時停止しなければ出金が殺到し、最初に引き出した顧客に全額支払われ、他の顧客には支払いが滞る状況だった」と述べた。

また、セルシウスの共同創業者兼CEOのアレックス・マシンスキー(Alex Mashinsky)氏は「今回の決断は正しい選択」と述べた。今後のセルシウスの事業継続については、1億6700万ドルの現金を活用することで再建過程における業務も推進できると述べている。

従業員への給与や福利厚生は継続されるが、顧客から引き出しは裁判所の許可が必要という。再編の担当する法律事務所として、カークランド&エリス法律事務所(Kirkland & Ellis LLP)を起用したようだ。

セルシウスは、金融サービスは顧客とコミュニティの利益を優先すべきだという信念のもとに設立。暗号資産のレンディングサービスだけではなく、DeFi(分散型金融)アプリケーションも展開している。

セルシウスが苦境に立たされた背景には、破格の年利を謳い、高リスクな資産運用を行なっていたことがある。

今年5月にはステーブルコイン・TerraUSD(UST)の価格崩壊が発生したことで、セルシウスはUSTの預託に20%の利回りを提示していたテラブロックチェーン上のレンディングプロトコル「アンカー・プロトコル」から資金を引き揚げた。

また、今月に入り米連邦破産法15条(Chapter15)の適用を申請した暗号資産ヘッジファンドThree Arrows Capital(3AC)による債務不履行の影響で資金を回収不能に陥ったことなども痛手となった。

その一方で、この数週間でDeFi融資プロトコルに対し合計8億ドル(約1,111億円)の債務を返済している。

画像:Shutterstock

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