2022.11.11
大手暗号資産(仮想通貨)取引所FTXのCEOであるサム・バンクマン・フリード(Sam Bankman Fried)氏が、米国法人であるFTX USの取引を数日後に停止する可能性を明らかにした。
実際、FTX USには「数日中にFTX USの取引が停止される可能性があります。決済したいポジションがあれば、決済してください。出金は可能であり、今後も継続されます。更新があり次第、お知らせします」とのバナーが表示されている。
FTXは公式Twitterで、「FTX USの引き出しは通常通り処理されており、FTX USは通常通り運用されています」と説明している。サム氏も自身のTwitterを通じ、トラブルはFTXのみであることを強調しており、「米国に拠点を置くFTX USは一連の騒動による影響を受けていない。流動性は100%。全てのユーザーは完全に引き出すことができる」と述べた。
今年9月にFTX USのCEOに就任したザック・デクスター(Zach Dexter)氏も、顧客の現金資産について「独自資金から分離されている」と強調している。昨年8月にFTX USが買収した規制当局の認可を受けた先物取引所・LedgerXの顧客資金専用の銀行口座に保管されていると説明した。さらに、暗号資産についてはBitGoおよびBitGo Trustで保管されているという。
サム氏によると、9日時点でFTXは80億ドル(約1兆1,300億円)もの資金不足に陥っていると述べており、緊急の資金調達が実施できない場合には破綻する危機に瀕していると明かしている。同氏は「ユーザーに流動性をもたらす方法を見つけている。できる限りの方法で戦い続ける」と述べているが、先行きは見えていない。
なお、FTXが本社を置くバハマの証券取引委員会(Securities Commission of The Bahamas)は10日、FTXの資産を凍結したと発表した。
規制当局は認可登録も一時停止。バハマ最高裁判所にFTXの暫定清算人の任命を申請し、ブライアン・シムズ(Brian Simms)氏が選任されたという。
すでにFTXの資産、顧客資産、FTXが保有する信託財産の譲渡、移転などはできず、暫定清算人の書面による承認がない限りはFTXの資産は凍結されたままであるという。
今回の措置の理由として、FTXの顧客の資産が故意にアラメダ・リサーチ(Alameda Research)社に譲渡されていたことを示唆する公的な声明を確認したからだとしている。さらに、こうした行為はガバナンスに反し、違法となる可能性があると指摘した。
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