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暗号資産市場、米国株との相関性に反し全面安 アラメダの財政状況不安が影響

米FRB(連邦準備理事会)の高官が相次いで目先の利上げ減速に前向きな姿勢を示す中、米株式市場は次第に買いが優勢となっている。パウエルFRB議長は今月行われたFOMC(連邦公開市場委員会)後の記者会見で利上げペースを緩和させる可能性を示唆したが、最終的な判断は物価見通しが鈍るかどうか次第となる。

また、今週は日本時間10日に10月の米CPI(消費者物価指数)が発表されることから、俄然注目が集まると言える。CPIの数値によってはFRBの利上げ姿勢に変化が見られない可能性もある。

7日の米主要指数は軒並み上昇した。NYダウは前日比423.78ドル(1.31%)増の32,827.00ドル、ナスダックは前日比89.27(0.85%)増の10,564.52、S&P500は前日比36.25(0.96%)増の3,806.80で終えた。

なお、日本時間8日夜からは米中間選挙の投票が始まる。この選挙ではバイデン大統領率いる民主党が苦境に立たされ、下院の過半数を共和党が占めることも想定されている。下院を共和党が占めた場合には「ねじれ」が発生し、バイデン大統領が掲げる企業や富裕層への増税など株式相場にとって逆風となる法案の成立が難しくなるとの見方が広がっている。

これに加え、ねじれ現象における米金融相場は好パフォーマンスを記録する傾向が強いことも投資家の心象を良くしたものとみられる

堅調な株式市場に対し、これまで相関性のある推移を見せていた暗号資産(仮想通貨)は下落している。

ビットコイン(BTC)は一時2万ドル(約293万円)を割り、19500ドル(約286万円)ほどまで価格を落とした。また、イーサリアム(ETH)をはじめ主要アルトコインも大きく価格を落とすなど、暗号資産市場は全面安となっている。

株式市場との相関性に反し暗号資産市場が下落した背景には、大手暗号資産取引所FTXの関連企業である投資会社アラメダ・リサーチ(Alameda Research)に関する問題だ。リークされた情報により、アラメダ・リサーチのバランスシートがFTXの独自トークンであるFTXトークン(FTT)に強く依存していることが判明した。

これを受け、大手暗号資産取引所バイナンス(Binance)のCEOであるチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao=CZ)氏は、自社で保有するFTXトークン全てを売却する方針を示した。

CZ氏の発表後、FTXトークンは下落。8日にはさらに価格を大きく落とす場面を見せ、記事執筆時点では前日比約20%安となる18.40ドル(約2,700円)で推移している。FTXトークンは1週間比で約30%下落している。

FTXのCEOであるサム・バンクマン・フリード(Sam Bankman-Fried)氏はリーク情報について「根拠に乏しい噂話が広まっている」とし、「FTXは全クライアントの保有資産を十分にカバーできる。我々は顧客資産を国債にさえ投資していない」と述べ、同取引所の財務状況に問題がないことを強調した。

今回のFTXトークンの売却を通じたCZ氏とサム氏の対立を危惧する声もある。共に世界的な暗号資産取引所を有していることから、対立が激化することにより市場へさらなる影響を及ぼす可能性も考えられる。

画像:Shutterstock

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