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バイナンス、FTXの買収に合意 実現すれば業界史上最大規模のM&Aに

大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)が、同業他社大手のFTXを買収することで合意したことがわかった。9日、バイナンスのCEOであるCZ(Changpeng Zhao)氏とFTXのCEOであるサム・バンクマン・フリード(SamBankman Fried)氏が共に発表した。

CZ氏によると、買収するのはグローバルに事業を展開するFTX.comとなるそうだ。また、サム氏によれば、米国で展開するFTX USについては買収の対象外になるという。米国ではバイナンスもBinance USを展開している。

CZ氏によると、FTXが流動性危機に陥り、8日午後にバイナンスへ支援を要請したという。ユーザーの保護の観点から、CZ氏は買収に関する基本合意書に署名したと説明している。

なお、現時点でこの買収に法的拘束力はなく、今後数日の間にバイナンスがFTXを調査した上で、正式な買収契約を結ぶことになるという。また、CZ氏は正式契約までに一定期間を要するとしており、いつでもこの基本合意書を撤回することができる権利があると述べた。さらに、事態が進展するに伴い、FTXの独自暗号資産であるFTXトークンの価格変動は大きくなる可能性があると注意喚起を行った。

実際、FTXトークンは前日比70%以上急落し、一時3ドル(約436円)ほどを記録。記事執筆時点では5ドル(約730円)ほどで推移している。

一報を受け、暗号資産市場では混乱が生じている。

ビットコイン(BTC)は記事執筆時点で前日比7%マイナスとなる1万8200ドル(約264万円)ほどで推移。イーサリアム(ETH)をはじめとした主要アルトコインでは前日比10%以上の下落を見せているものもある。

一連の事態の発端となったのは、FTXの関連投資会社であるアラメダ・リサーチ(Alameda Research)のバランスシートがリークされたことにある。同社のバランスシートがFTXトークンに依存していることが判明し、財務状況が不安視された。

これを受け、CZ氏は7日にバイナンスが保有するFTXトークンを全て売却することを発表。サム氏らは市場への混乱を最小限に留めるべく火消しに追われたが、FTXから出金するユーザーは後を絶たなかったようだ。

関係者が日本経済新聞に話したところによると、8日朝までの72時間でFTXから60億ドル(約8,700億円)が引き出されたという。

なお、FTX傘下の国内暗号資産取引所FTX Japanにおいても本社の対応方針に沿って暗号資産の出庫および法定通貨の出金サービスを一時的に停止するとの発表がされている。

サム氏は声明で、「私たちのチームは現在出金処理に取り組んでいる。流動性の危機を解消し、全ての資産が1:1でカバーされる」と強調した。また、CZ氏をはじめバイナンス、そして全ての支援者に対し「多大な感謝をしている」とし、今後も業界の発展に努めると語った。

今回の買収が成立すれば、業界史上最大規模のM&A(合併・買収)になる。

アラメダの財政不安から始まった一件は、業界にとって激震が走る結末を迎えたと言える。大手取引所同士のM&Aは今後も市場をはじめ広範に影響を及ぼす可能性があることから、注視していく必要があるだろう。

画像:Shutterstock

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