2022.08.19
韓国金融情報院(KOFIU)は18日、規制当局へ登録を行っていない暗号資産(仮想通貨)サービス業者(VASP)16社が違法に営業活動を行っているとして、捜査当局に通知したと発表した。
KOFIUは暗号資産取引所の顧客に対し、無登録業者との取引で発生する損害に十分な注意を払うように促した。
捜査当局に通知したのは、KuCoin、MEXC、Phemex、XT.com、Bitrue、ZB.com、Bitglobal、CoinW、CoinEX、AAX、ZoomEX、Poloniex、BTCEX、BTCC、DigiFinex、Pionexの16社。いずれも海外に拠点を置きつつ、韓国語のWebサイトを提供し、韓国の顧客獲得のためプロモーション活動を行い、暗号資産を購入するのにクレジットカード決済サービスを提供しているなど、国内の顧客を対象とした事業活動をしていると指摘している。
昨年7月22日、KOFIUは韓国人を顧客とする事業活動を行う外国のVASPに対し、韓国の法律に基づく当局への事業登録義務について通知をしていた。しかし、16社は登録を受けることなく、韓国で営業を行っていることが判明したという。
KOFIUは今後、16社のVASPに対し、登録義務法違反を犯しているとして、各国のFIU(資金情報機関)に通知する。無登録業者の違法な営業活動は、一定期間国内市場でのVASP登録を制限した上で、最高5年の懲役、または最高5000万ウォン(約515万円)の罰金を科す予定だ。
FIUとは、資金洗浄、テロ資金供与に関する取引情報を受理、分析して捜査機関などに提供する政府機関。日本ではJAFIUがそれにあたる。
また、KOFIUは無登録団体が提供する暗号資産取引サービスの利用を止めるため、韓国通信委員会と韓国通信規格委員会に無登録VASPのWebサイトへのアクセスを遮断するように要請するという。さらに、クレジットカード発行会社と連携して取引停止を求めるようだ。現在の顧客が保有する無登録のVASPにおける暗号資産については、登録済み業者と無登録の事業者間の取引停止を求める行政指導を行なったことから、移転は不可能になると説明している。
今後の対応として、KOFIUは利用者が取引するVASPが法律に基づき正規に登録されているかどうかを確認する必要があると述べている。
また、未登録のVASPは、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証などの登録資格がないため、個人情報の漏洩やハッキングのリスクにさらされていると説明。さらに、AML/CFT(マネー・ロンダリング及びテロ資金供与防止対策)活動の管理・監督の対象外であるため、マネー・ロンダリングにも利用されやすいという問題もあると注意喚起を行っている。
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