2022.08.18
カナダで2番目の規模を誇る年金基金であるケベック州貯蓄投資公庫(CDPQ)は17日、2022年6月末時点における運用のリターンを発表した。
その際、暗号資産(仮想通貨)レンディングサービス業者のセルシウスネットワーク(Celsius Network)に対し、法的措置を検討していることが明らかになった。
発表によると、CDPQの総資産は6月30日現在で3920億ドル(約53兆円)となり、2021年末の4198億ドル(約56兆7,600億円)から減少した。今年の上半期で同社のポートフォリオは7.9%の打撃を受けたという。
また、CDPQのCEOであるチャールズ・エモンド(Charles Emond)氏は、「暗号資産への投資は早すぎた」と表明した。
この公表で直接セルシウスの名前こそ挙げなかったものの、多くのメディアはC同社の株式をCDPQが減損処理したと報じている。
セルシウスは昨年10月、CDPQおよびWestCapが主導した資金調達で4億ドル(約540億円)の出資を受けたことを発表。このうち、CDPQは1億5000万ドル(約200億円)を出資していたという。
Financial Timesによると、エモンド氏はセルシウスの倒産に関して、「セルシウスであれ、他の投資であれ、帳消しにする時には、その結果に失望し、嬉しくないことは言うまでもない。出資する際は多くの専門家やコンサルタントとしっかりと調査を行っている。暗号資産投資に課題があることは認識していたが、我々はその課題を過小評価していた。我々はセルシウスに投資をした多くの人に共感する。ファンドマネージャーが法的選択肢を探っている」と述べた。今後、CDPQは債権者としてセルシウスの破産の裁判にも参加するという。
また、セルシウスへの投資を後悔しているかどうかについて問われると、エモンド氏は「投資家としては、それは常に終わりのない学習過程だ。学び、同じ過ちを繰り返さないようにする。いかなるドルの損失も軽んじることはない。チームはいつもそうであるように、説明責任を果たすだろう」と語った。
一方で、CDPQは暗号資産へのさらなる投資については消極的であるものの、ブロックチェーンに将来性があるかについては「ストレートな答えはイエスだろう。このような革新的技術は浮き沈みがあるものだ」と答えた。
セルシウスは先月13日、米連邦破産法11条(Chapter11)に基づく会社更生手続きを提出。同社の破産手続きを受け、6月からケベック州の金融市場庁(AMF)やトロント証券取引所を管轄しているオンタリオ州証券委員会(OSC)も調査を行っている。また、オンタリオ州の規制当局も調査に乗り出しており、米SEC(証券取引委員会)も各州政府の規制当局と連携して調査を行っているという。
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