2022.08.16
米連邦準備制度理事会(FRB)が15日、暗号資産(仮想通貨)銀行に関する新ガイドラインを発表した。
この発表は、米暗号資産銀行が暗号資産取引業と銀行業の両方の業務が可能となることを示唆している。FRBは「新しいタイプの金融商品を提供する金融機関」に、銀行が合法的に運営できる「マスターアカウント(口座)」を付与できるプロセスを監督するための正式なガイドラインを発表した。
これまで、暗号資産銀行は連銀にこの口座を開設する許可が得られていなかった。しかし今回の発表により、Custodia(旧Avanti)やKraken Bankのようなワイオミング州の特別目的預託機関(Special Purpose Depository Institutions:SPDI)が、仲介銀行を必要とせずにこれらの口座にアクセスできる可能性が出てきた。
SPDIはワイオミング州が2019年に制定した金融機関の形式で、銀行業務を行いながら、暗号資産の取引や保管・資産管理が可能となる。しかし、顧客への法定通貨預金での融資は禁止されている。
FRBの49ページにおよぶ「最終ガイダンス」の9ページで、このガイドラインの下でマスターアカウントを求めることができる新しい金融機関について議論する際に「暗号資産」という言葉が触れられている。
FRBは昨年初めてガイダンスを提案し、パブリックコメントを求めていた。300人近くがコメントを提出し、今年はじめに2回目のパブリックコメントを求めた。多くのコメントは、「新しい金融機関が口座やサービス提供をできるようにするために、厳しい指針を提供するべき」という内容であった。
新ガイドラインは安全で包括的かつ革新的な決済システムを支援するため、連邦準備銀行の口座や決済サービスへのアクセスの要請を評価する一貫した透明性のあるプロセスを提供するもの。
また、新ガイドラインではリスクの程度に応じ金融機関を分類する。具体的には、準備銀行が適用するデューデリジェンスのレベルを明確化し、3つの階層に分類する。
第1階層は、連邦政府による保険に加入している機関で構成される。
第2階層は、連邦政府の保険には加入しないが、「連邦銀行機関の監督下にある機関」や「その持株会社がFRBの監督対象となる機関」が属することになる。
第3階層は連邦政府の保険に加入せず、連邦から対象となる機関、またはその持ち株会社に対する監督が行われない機関となる。
暗号資産銀行がこの第3階層に該当する可能性が高い。
CustodiaとKrakenはともに、FRBが最初の提案を公表する直前にマスターアカウントへのアクセスを申請していた。FRB、暗号資産銀行に関する新ガイドラインを発表両社は今年に入り、マスターアカウントのアクセスを得るための重要なステップであるルーティングナンバーを受け取っている。
画像:Shutterstock