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米SEC、ヘッジファンド規制強化案で暗号資産保有の報告義務化を検討

米証券取引委員会(SEC)が、ヘッジファンドやプライベート・エクイティ(PE)ファンド(未上場企業投資ファンド)の投資戦略およびエクスポージャー(投資残高、投資率)に関する詳細な報告を求める規制強化案を発表した。その中に暗号資産(仮想通貨)も含まれていることが明らかとなった。

ヘッジファンドや未公開株ファンドは、「フォームPF」と呼ばれる形式で規制当局に運用状況を報告している。SECは、このフォームPFの規則を強化するという。

バイデン政権はかねてからヘッジファンド業界の透明性向上を求めてきた。そしてSECは今年1月、大手ヘッジファンドやPEファンドに対して多額の損失や償還が発生した場合の報告を迅速化するよう要求している。

今回の規制案では、マスターファンドとフィーダーファンドの仕組みやパラレルファンドといった複雑なケースにおいて、それぞれの構成ファンドに関する詳細な情報を提出するよう求めた。こうした仕組みを一つにまとめて報告している現状では、ヘッジファンドやPEファンドが抱える潜在的なリスクを完全に把握できず、複雑な構造の比較を困難にしていると説明している。

SECのゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長は声明で、「SECとCFTC(米商品先物取引委員会)が共同でフォームPFを採用して以来10年間、規制当局はプライベートファンドに関して重要な洞察を得てきた。以来、プライベートファンドは総資産額が150%近く増加し、そのビジネス手法、複雑さ、投資戦略は進化した。この提案が採用されれば、大規模なヘッジファンドを中心として、全てのフォームPFの提出者から受け取る情報は改善される」とコメント。その上で、「これは投資家を保護し、公正で秩序ある市場を維持することに役立つ」と述べた。

今回の変更で、暗号資産などのデジタル資産が新たに加えられた。これにより暗号資産のほか、ブロックチェーン等を用いて発行、分配される資産の全てにおけるエクスポージャーについても報告が必要となる。

SECは採決を経て、最短60日間のパブリックコメントを実施する。必要に応じ修正をした後、数ヵ月後に最終案を審議するという。

画像:Shutterstock

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