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イーサリアム、「The Merge」実施後にPoWとPoSに分裂する可能性浮上 ブテリン氏は批判

9月に実施が予定されているイーサリアムのPoS(プルーフ・オブ・ステーク)移行に向けたアップデート「The Merge(マージ)」に伴い、暗号資産業界では準備が慌ただしくなってきている。マイニング業者や暗号資産(仮想通貨)取引所はそれぞれ対応を発表・実施している。

米暗号資産取引所ビットメックス(BitMEX)が8日、PoW(プルーフオブ・ワーク)のイーサリアム・ETHW(EthereumPoW)先物を9日に上場させることを発表した。証拠金はテザー(USDT)で、2倍までレバレッジが可能だという。テッカーシンボルは「ETHPOWZ22」だ。

また、暗号資産取引所ポロニエックス(Poloniex)は8日、イーサリアムがハードフォークし、PoWとPoSのチェーンに分裂した際を想定し、「ETHW」および「ETHS」のIOU(借用証書)取引を開始した。

通貨ペアはイーサリアム、テザー、USDDとなっており、PoWとPoSのイーサリアムが実際に流通する前から取引することが可能となる。実際にETHWおよびETHSが双方ともに発行された際、借用証書を保有しているユーザーは受け取ることができる。

PoWのイーサリアムが残り続ける可能性が浮上した背景には、既存マイナーの強い反対姿勢がある。

中国の著名個人マイナーであるチャンドラー・グオ(Chandler Guo)氏はマージ反対の姿勢を打ち出しており、アップデート実施後に残るイーサリアム1.0のチェーンをハードフォークさせ、PoWで稼働するネットワークを保持するプロジェクトを発表した。その際、PoWのチェーンで発行されるイーサリアムがETHWと想定されている。

この発表を受け、サポートに応じたのがトロン(TRON)創設者のジャスティン・サン(Justin Sun)氏だ。ポロエニックスがETHWおよびETHSのIOU取引を開始した背景には、主要投資家であるサン氏の意向が反映されたものと考えられる。

PoS移行後もPoWのイーサリアムがブロックチェーン間の有力な競争相手となりうると考えているようで、「インフラとして非常に優れた基盤を提供している」と語る。

また、米暗号資産投資企業のデジタル・カレンシー・グループ(DCG)のバリー・シルバート(Barry Silbert)CEOも、イーサリアムクラシック(ETC)とマージ後のイーサリアムの両方の支持を表明している。

イーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏は、先週末に開催されたイベント「ETH Seoul」で、「ほとんど全員がマージ後のPoS移行を支持して団結しているため、新しいフォークで大きな損害を受けるとは思わない」と述べている。

一方でブテリン氏は、チェーン分岐を試みる動きなどを受け、「部外者は手っ取り早く稼ぎたいだけだ。長期的な普及は予想していない」と批判。その上で、「何が起きたとしても、人々がお金を失うことにつながらないことを願っている」と語っている。

PoS移行により、現在のイーサリムのマイニング業者はこのままいけば収入源を絶たれる可能性が高い。それでも、イーサリアム大手マイニングプール「f2pool」は、「我々はPoSという新しい時代に意向すべきだろう」と述べている。

画像:Shutterstock

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