2022.07.19
18日の米株式市場は反落。ダウ平均は先週末比215.65ドル(0.69%)安で取引を終えている。
先週末は米CPI(消費者物価指数)の上振れで利上げが1%に及ぶという懸念が広がっていたが、タカ派で知られるFRB(米連邦準備理事会)クリストファー・ウォーラー(Christopher Waller)理事とジェームス・ブラード(James Bullard)・セントルイス地区連銀総裁が0.75%維持を支持したことで上昇していた。ウォーラーFRB理事は「金融政策の引き締めによる需要の抑制、ひいては物価上昇圧力の低下を月末の米連邦公開市場委員会(FOMC)までに確認できるかが鍵となる」とも述べている。
しかし、「アップルが人員採用ベースと支出を減速させる計画だと関係者が証言した」というBloombergの報道を受け、アップルの株価が2%の下落に転じると、全体に景気低迷の懸念が波及し、ハイテク株を中心として下落に転じた。
一方、暗号資産(仮想通貨)市場は金融市場の動きと反して大幅な上昇を見せる銘柄が目立った。
ビットコイン(BTC)は右肩上がりに上昇し、一時2万2800ドル(約314万円)ほどを記録。FRBのウォーラー理事らが0.75%の利上げを支持したことが追い風となり、過度な金融引き締めに対する懸念が和らいだ格好だ。
また、主要アルトコインであるイーサリアム(ETH)が大幅な上昇を見せ、円ベースで約1ヵ月ぶりに20万円を突破するなど、暗号資産市場を牽引する存在となっている。コンセンサスアルゴリズムをPoS(プルーフ・オブ・ステーク)へ移行するアップデート「The Merge(マージ)」の実施目標を今年9月に設定したことで期待感が集まっている。
一時は前日比15%超の上昇となる1550ドル(約21万3,000円)を記録。記事執筆時点では下落したものの、1500ドル(約20万6,600円)で底堅く推移している。
他銘柄では、イーサリアムのレイヤー2ブロックチェーンであるポリゴン(MATIC)が先週比56%、同じくソラナ(SOL)が30%、アバランチ(AVAX)が34%値を上げるなど大きく上昇しており、暗号資産市場全体では底打ち感も出始めている。
それでも、暗号資産運用企業グレースケール(Grayscale)は「Bear Markets in Perspective(弱気相場の展望)」というレポートの中で「従来の金融市場にはサイクルがあるが、それは暗号資産市場も同様」と述べ、1つのサイクル期間は約1275日だと説明した。その上で、現在の「暗号資産の冬」は購入のチャンスであり、「安くビットコインを購入できる期間は2022年6月13日から271日間」としている。
また、レポートの最後で「市場サイクルを繰り返すことでエコシステムは強化される。価格下落や清算、高いボラティリティを経験しても、暗号資産業界は可能性を押し上げ発展していく」と述べた。
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