2022.07.21
米電気自動車大手テスラが20日、保有するビットコイン(BTC)の約75%を売却したと発表した。
決算資料によれば、法定通貨への転換により、9億3600万ドル(約1,295億円)の現金がバランスシートに追加された。減損の規模は明記していないが、それが第2四半期(4-6月期)の収益性を悪化させたことを明らかにした形だ。
テスラのCEOであるイーロン・マスク(Elon Musk)氏は、ビットコインで同社のEV購入を可能にしていた時期がある。しかし、ビットコインのマイニングが環境に負荷を与えるという理由で、その後支払いオプションを停止した。
テスラは昨年2月、ビットコインに15億ドル(当時約1,580億円)を投資したと公表。この発表を受け、ビットコイン価格は急騰し、当時の史上最高値を更新した。
20日の決算発表に関する電話会見でマスク氏は、「中国でのCOVID-19(新型コロナウイルス)対策のロックダウンに関連した不確実性を踏まえ、手元の現金を最大化することが重要だった。将来的にはビットコインの保有量をまた増やすと思う。今回の措置はビットコインに対して何らかの評決を下したというわけではない」と説明した。同氏の発言は、暗号資産(仮想通貨)市場に与える影響を最小限に留めるものであったとも言える。
一方で、マスク氏は「ドージコイン(DOGE)はまだ保持している」と付け加えた。テスラは昨年12月からドージコイン決済をテスラで導入している。さらに今月には、マスク氏の企業グループ傘下で米トンネル掘削企業の「ボーリングカンパニー(The Boring Company)」が、ラスベガスで展開する地下高速交通システム「ベガスループ(Vegas Loop)」においてドージコインを運賃として利用可能になったことも明らかになっている。
テスラによる売却が明らかになった後、ビットコインは前日比約1.6%下落。それでも、底堅さを見せ、記事執筆時点では2万3300ドル(約322万円)ほどを推移している。
マスク氏は昨年5月、ビットコイン決済を停止した際に「ビットコインを売却することはない」と語っていた。また、ビットコイン決済の再開時期については、マイニングで使用されるエネルギーの少なくとも50%が再生可能エネルギーで構成されるようになった際に検討すると述べている。
テスラは上場企業として、マイクロストラテジーに次ぐ4万3200BTCを保有していたとされる。
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