2022.07.11
電気自動車大手テスラのCEOであるイーロン・マスク(Elon Musk)氏は8日、Twitterの買収について撤回する意向を示した。
米証券取引委員会(SEC)に提出された資料によると、マスク氏は契約時に取りまとめた情報がTwitter側から提供されていないことを買収撤回の理由として挙げている。
同氏はTwitterにおいてスパムや偽アカウントが多いという問題に疑念を抱いており、実態を精査するまでの間、買収手続きを一時保留していた。資料によれば、マスク氏が求めたこれらのアカウントに関するデータは事業および財務実績を把握する上で重要なもので、買収契約を完了する過程で必要になるという。
同資料ではTwitterがマスク氏の要求に反し、不完全な情報を提供していたと主張している。マスク氏は過去、デイリーアクティブユーザー(mDAU)の5%がスパムおよび偽アカウントだというTwitterの主張には疑問が残り、もしこの比率がさらに高かった場合には利用者数が減るほか、企業価値が損なわれるとの懸念を示していた。
同氏はこの偽アカウント等について、実際には利用者の20%に上るとの見方を示しており、状況によっては買収額の引き下げを示唆している。
なお、Twitterこの発表を受け反発。同社のブレット・テイラー(Bret Taylor)会長は、「Twitterの取締役会は、マスク氏と合意した金額と条件での取引完了に尽力する。買収合意の実現を求めて法的措置を取る予定だ」と述べた上で、「我々の勝利を確信している」と語った。
マスク氏の発表を受け、Twitterの株価は時間外取引で急落した。今回の発表を受け、Twitterの買収を巡って事態は泥沼化する可能性がある。
マスク氏は今年4月、440億ドル(当時約5兆6,000億円)での買収を提案しており、Twitterも同意していた。この契約に基づき、Twitterの株は1株あたり54.20ドル(当時約6,900円)で買い取られることになった。これは今年4月1日の株価の終値に対して38%のプレミアをつけた額となる。
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