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トヨタ・ブロックチェーン・ラボ 独占インタビュー

ブロックチェーン技術活用の取り組みを発表したトヨタの本気

日本のトップ企業、トヨタがブロックチェーン技術活用に関する取り組みを発表した。
トヨタはブロックチェーンをどのように評価し、どう活用していくのだろうか。
その中心として活躍する「トヨタ・ブロックチェーン・ラボ」のお二人に詳しく話を聞いてみた。

2020年4月21日(火)発売の月刊仮想通貨6月号Vol.27より

 2020年3月16日、トヨタ自動車とトヨタファイナンシャルサービスは、両社に加えてトヨタファイナンス、トヨタシステムズ、デンソー、豊田中央研究所のグループ6社で立ち上げた「トヨタ・ブロックチェーン・ラボ」の活動内容と今後の展開について発表した。同ラボは、ブロックチェーン技術の可能性を追求し、トヨタグループによる「新たな価値創造」を主導するため、2019年4月
に設立された。
 昨今、数多くの企業がブロックチェーン技術に注目し実証実験を開始している中、日本のトップ企業であるトヨタの取り組みはブロックチェーン業界にとっても目が離せないものとなりそうだ。そこで本誌では、トヨタ・ブロックチェーン・ラボの冨本祐輔氏(戦略企画本部副本部長)と岩崎聖也氏(戦略企画グループマネージャー)に直接話を聞いてみた。

─まずはトヨタ・ブロックチェーン・ラボ設立の経緯について教えて下さい。

冨本祐輔氏(以下、冨本)「個人的には、2015年にブロックチェーンと出会い〝これは世界を変える技術なのかもしれない〟と衝撃を受けまして、その後さまざまなプロジェクト関係者などに会ってブロックチェーンのことを学び始めました。社内でもブロックチェーンに関する研究レポートを出し、その有用性に徐々に広めていけるように活動してきました。
 また、ここ数年の間に自動車業界でもブロックチェーンを活用しようと試みる企業が世界中で現れ始めました。もちろん、トヨタにも世界中の企業から〝ブロックチェーンを活用しませんか〟という話が来るんですね。そういった周囲の環境に加えて、トヨタとしては自動車業界が〝100年に1度の変革期〟に入って
いると感じている中で新たな価値創造手段として、ブロックチェーンに着目した形です。そして昨年4月に、このラボが設立されました」

─ラボ設立の目的としてはどのようなものが挙げられますか?

冨本「まずはグループ全体でのブロックチェーン技術の知見の蓄積、情報収集、そして仲間づくりといった目的があります。〝データの信頼性向上〟や〝落ちにくいシステム〟といったブロックチェーンのメリットはすでにわかっていますが、では実際にデータをブロックチェーン上に乗せることで何ができるのかをしっかりと検証しようと。昨年4月にバーチャル組織としてラボを設立しましたが、何もせずに過ごすとあっという間に時間が過ぎてしまうので、半年の間に実証実験をしようという目標を持って取り組んできました」

─発表資料では、これまでの活動報告として「お客様」「車両」「サプライチェーン」「価値のデジタル」をテーマに検証を進めているとありました。具体的に、ブロックチェーンをどのように活用しようとしているのですか?

岩崎聖也氏(以下、岩崎)「たとえば、お客様のデータをテーマにした『Perso
nal ID』と、車両をテーマにした『Vehicle ID』の実証実験を実際に行いました。Personal IDは、トヨタグループ内外の各サービス連携と、お客様が自身の情報を自分で管理することを両立します。たとえば一度個人情報を登録すれば、グループ内外の様々なサービスを、都度情報を登録することなく利用できるといった利便性の向上が期待できます。そして、どのサービスに情報を渡すかは、お客様側でコントロールできるのが特徴です。Vehicle IDは車両情報や整備情報、パーツや運転履歴を、ブロックチェーン上に発行する車両1台1台に固有のIDに記録するものです。
このVehicle IDを使い、車両の価値を正しくデジタル上で管理することで中古車の価値算出を従来よりも正確に行うといった用途が考えられます」

─すでに実証実験をある程度行った上で、活動内容を発表したのですね。

冨本「もちろん、昨年4月にラボを設立した時点で、発表することもできました。でも、それを発表するだけでは意味がないですよね。実際にいくつか実証実験の成果を積み上げて、本気でブロックチェーンに取り組んでいるんだというメッセージを伝えたかったので、このタイミングで発表することになりました」

─発表時には「インターネット誕生以来の革命」というキーワードも出していることから、真剣にブロックチェーン技術に取り組んでいることがよくわかりました。ブロックチェーンの活用は「データの民主化」にも繋がるとお考えですか?

冨本「近年では個人のデータを一企業が牛耳って活用したり、ToTや5Gといった新技術が誕生してこれまで以上にデータがさまざまな場で活用されていく中で、〝監視社会になるのでは〟という危惧を抱く声も増えていますよね。本来、データの活用というのはお客様にとって、これまで以上に便利になるもの、幸せになるものでなくてはならないと私たちは考えています。だからデータによって個人が監視されるのではなく、個人がデータを管理していけるようになるのが正しい未来のはずです。そのような考えを基に、Personal IDでは自分が許可したデータだけをさまざまなサービスで使える仕組みになっています。Woven City(トヨタが1月に発表した自動運転などの実証実験が可能なスマートシティ)
などでも、個人がデータをコントロールしてより幸せになるために、ブロックチェーンをどう活用できるか、検討をしているところです」

─最後に、これからのブロックチェーン活用の展望を教えて下さい。

岩崎「2020年度は、Toyota walletやMy routeなど、より実サービスに近い環境でのブロックチェーン活用について、引き続き検証をしていく予定です」

冨本「お客様を幸せにするために何をすればいいか、という考えに基づいて今後もブロックチェーンの可能性を探りながら実務にまで落とし込み、ブロックチェーン活用を牽引していきたいと思っています」

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