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OwlTing、合掌ホールディングス株式会社 独占インタビュー

世界有数のブロックチェーンスタートアップと日本が誇る観光地が手を結ぶ

SBIグループからも出資を受ける台湾のブロックチェーンスタートアップ「OwlTing」。ブロックチェーン技術を活用して、予約管理、金融、航空、知的財産、在庫管理など数多くの業界の未来を切り開くサービスを生み出している。そんな彼らが、白川郷と協業するに至った理由とは。

「観光」「エンターテイメント」「商い」を通じて、地域の未来を地域住民と共に創り、支えていくことを目指す合掌ホールディングス株式会社。彼らの活動地域の1つ、白川郷の合掌造り民宿に、ブロックチェーン技術を活用した予約システムが導入された。観光地とブロックチェーン、その出会いの経緯とは。

2020年4月21日(火)発売の月刊仮想通貨6月号Vol.27より

 今年2月、日本を代表する白川郷の合掌造民宿に、ブロックチェーン技術を活用した予約システムが導入されたことが発表された。観光業界、ブロックチェーン業界のどちらにとっても画期的と言えるこの試みを始めたのが、合掌ホールディングス株式会社と、台湾に本社を置くOwlTing Japan株式会社(以下、OwlTing)である。

 世界遺産でもある白川郷と、ブロックチェーン企業はどのように出会ったのか。そして両者のタッグにはどのような意味があるのか。まずは合掌ホールディングスCMOである藤田氏に聞いた。

――まずは白川郷がどのような観光地なのか、改めて紹介してください。

藤田雄也氏(以下、藤田):世界遺産でもある白川郷には、年間で国内外から170万人以上の観光客が訪れています。白川郷には合掌造民宿、ゲストハウス、旅館、一般民宿など約40施設があり、日本の歴史ある文化や生活を体験してみたいというニーズが非常に高い観光地です。今では観光客の7、8割程度が外国人観光客になっています」

――非常に人気が高い観光地ですよね。なぜそんな白川郷に、ブロックチェーン技術を活用した予約システムを導入することになったのでしょうか?

藤田:実はこれまで合掌造民宿では、予約は電話やFAXのみの受付になっていました。人による手作業での予約管理をしていたため、オーバーブッキング、ダブルブッキング、NO SHOW(予約したお客さんが予約通りに来訪しないこと)など、数多くの問題が発生していたんです。このような仕組みは宿側にとって大きな負担になっていただけではなく、海外のお客様にとっても予約をするハードルが高くなってしまっているという問題も発生していました。そこで、予約管理システムのデジタル化を進めようと考え、多くの予約管理システムを実際に使ってみて比較しました。

――その過程でOwlTing社と出会ったということですね。数ある予約管理ステムの中で、なぜブロックチェーンを活用しているOwlNest(OwlTing社が提供する予約管理システム)を採用することにしたのですか?

藤田:正直に言ってしまえば、ブロックチェーンを使っているかどうかは大した問題ではありません。私たちが目指したのは、宿側にとってもお客様にとっても使いやすい予約管理システムを導入するという点です。これまで紙ベースで予約管理をしていた合掌造民宿の女将さんでも使いやすいこと。そしてお客様にとってもわかりやすいこと。その条件をもっとも満たしていたのがOwlNestだったということです。

――ブロックチェーンを使っているかどうかではなく、重視すべきは利便性であったということですね。

藤田:そうです。利用者にとっては、どのような技術を使っているのかは重要ではありません。民宿の女将さんに〝ブロックチェーンを使っているんですよ〟なんて言っても、まったく魅力的だと思ってもらえませんよね(笑)それよりも、わかりやすくて使いやすいことが一番です。

――OwlNestを導入したことで、女将さんやお客様の負担も減りそうですね。

藤田:白川郷の魅力は美しい景観に加えて日本の伝統的な文化を感じられること、そして人情味あふれる人とのふれあいです。予約管理システムを導入して宿側の負担を減らすことで、これまで以上に観光客の皆さんに価値ある体験を提供することに力を注げることになります。白川郷はすでに日本屈指の観光名所ですが、これまで以上に多くの方にその魅力が伝わるよう私も尽力していきます。

 では、藤田氏の信頼を勝ち取ったOwlTingとはどのような企業なのか。同社CEOであるDarrenWang氏(以下、Darren)に聞いた。

Darren:OwlTingは2010年の創立以来、最先端の研究開発を経て世界有数のブロックチェーンスタートアップへと成長しました。これまでにOwlNestだけではなく、一般ユーザー向けECサイトの運営サービスなど、多くのサービスを提供してきました。

 2019年には、6年以上の経験と技術力を集結したOwlTing Blockchain Services(OBS)の開始を正式に発表しています。このサービスはホテルの予約管理システムであるOwlNest、食品安全のための食材追跡管理システムOwlChain、高価な商品の偽造管理システムOwlCheckを統合したブロックチェーンサービスです。

――2018年にはSBIグループのSBIクリプトインベストメント株式会社からも出資を受けていますね。

Darren:はい。数多くのブロックチェーンスタートアップのなかでも、早くから経験と実績、そして技術力を積み重ねてきた点を評価していただき、出資を受けることになりました。

――合掌ホールディングスとの協業により、日本でもOwlTing社の名前が広まるのではないでしょうか。

Darren:OwlTingは台湾だけではなく、世界中で事業を展開しています。今回、日本を代表する観光地である白川郷、そして合掌ホールディングス様と出会い、システム導入へと至ったことは非常に喜ばしいことです。合掌ホールディングス様との事業を成功させ、さらに多くの日本の宿泊施設にOwlNestを利用していただけるようにこれからも技術開発と利便性向上に努めていきます。

――最後に、今後の事業の展望について教えて下さい。

Darren:ブロックチェーンは間違いなくこれからの社会にとって必要不可欠となる技術だと確信しています。OwlTingは、これからもブロックチェーン技術の無限の可能性を探るため、あらゆる業界向けにカスタマイズされたブロックチェーンのアプリケーションとサービスを構築したいと考えています。今後ブロックチェーンを応用したフィンテック分野の発表も予定していますので、ぜひ楽しみにしていてください。