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「GMO渋谷FUTURE2023」イベントレポート 空飛ぶクルマとWeb3を豪華ゲストが徹底討論

1月27日、GMOインターネットグループ主催の完全招待制テック交流イベント「GMO 渋谷FUTURE 2023」が開催された。「渋谷から未来を変える、渋谷の未来をブーストする!」をテーマとして、「空飛ぶクルマ」の実現や「Web3・ブロックチェーン」について徹底的に討論がなされた。

空は最後にして最高のフロンティア

二部構成で行われた本イベントのオープニングセッションでは、「渋谷×ITの未来」をテーマとして、渋谷区長の長谷部健氏とGMOインターネットグループ株式会社の代表取締役グループ代表である熊谷正寿氏が登壇した。長谷部区長は「渋谷のためにも新しい分野を取り入れることが必要」との考えを示し、熊谷氏も「社会の許容性が空のIT化にとって重要」と語った。また、熊谷氏による「空は最後にして最高のフロンティア」という言葉が印象的だった。

トークセッションの様子
左:長谷部氏 右:熊谷氏

空飛ぶクルマの「未来」

オープニングセッションの後に行われた第一部のパネルディスカッションでは、ひろゆき氏をモデレーターとして迎え、下記パネリストたちによる様々な討論が行われた。

  • 千葉 功太郎 氏(DRONE FUND / 千葉道場ファンド 代表パートナー、航空パイロット)
  • 福澤 知浩 氏(株式会社SkyDrive 代表取締役CEO)
  • 内藤 裕紀 氏(株式会社ドリコム 代表取締役社長 / GMO Web3株式会社 取締役)
  • 守安 功 氏(株式会社Thirdverse BCG事業部長 / GMO Web3株式会社 顧問)
  • 渡辺 創太 氏(Astar Network ファウンダー / GMO Web3株式会社 顧問)
  • 藤本 真衣 氏(BlockchainPROseed Co-founder / GMO Web3株式会社 取締役)

最初の議論のテーマとなったのは、「空飛ぶクルマの未来」。このテーマでは、具体的に渋谷の上空で空飛ぶクルマを走らせるにはどのようなことに取り組むべきかといったことなどが議論された。

まず、いつ頃までに空飛ぶクルマが実現するかといったところでは、千葉氏が「2030年には比較的普通に走っているのではないか」との認識を示した。これは飛行機と空飛ぶクルマでは空域が違うため、実現可能性が大いにあるとのことだった。また、福沢氏は空飛ぶクルマのメリットとして、既存の交通渋滞等の問題を解決する点を挙げている。

一方で、法整備はもちろん、安価かつ安全な空飛ぶクルマを実現することができるかといったといった課題もある。千葉氏によれば、現状の空飛ぶクルマの価格は7,770万円にもおよぶという。本格的な導入当初は最安値でも3,000万円程度の費用は必要になるのではないかとのことだ。

こうした状況を踏まえ、ひろゆき氏は「人が運転する限りエラーは起こるが、不確定要素が少ない点で空の方が安全な可能性はある」「免許の概念もなくなる可能性があり、バスのような使い方になりそう」と言及。しかし、現状はヘリポートを使わないと実現性が低く、空飛ぶクルマを使う方がエネルギーを消費するため、総合的には車の方が利便性が高いとの考えを示した。また、既存のヘリコプターとの兼ね合いで、空中での渋滞も生じる可能性があるとも指摘している。

多様性を拡大させるWeb3

次のテーマとなったのは「Web3」。昨年注目を浴びたバズワードに対し、内藤氏が「Web3は多くの人に還元する世界を目指している」と述べたほか、藤本氏も「これまでは個人の証明が難しかったが、Web3であればそれが実現可能。個人のブランディングもしやすくなる」と持論を語った。また渡辺氏も、Web3によって「自身で資産を管理することが可能になる」とし、「自身のアセットが誰かに管理されていることが嫌な人もいることも踏まえれば、社会にとって必要な事」と述べ、Web3が普及することにより個人の自由度を向上させることができるのではないかとの考えを示した。

Web3もWeb2も利用者は気にしていない

一方で、現状のWeb3について懐疑的な見方をする声も少なくない。そもそも利用する一般人からしたら、そのサービスがWeb3でもWeb2のものでも関係なく、事業者側が気にする部分であると守安氏も指摘する。あくまでも、そこに価値があればユーザーは利用するとの考えで、同氏はNFTをチケットにした際に会場外の人間も恩恵を受けられるような仕組みづくりなどについては良いのではないと述べた。

そして、ひろゆき氏は現状の業界における課題でもある「人によってWeb3の認識が違う」という点で一般への広がりが滞っているとし、さらには「脱法行為が多いからグレーに見られることが多い」「グレーゾーンじゃない部分で勝負できるところがないと道理が通らない」と指摘した。また、「販売元が利益を得るだけの仕組みになっている」という現状を踏まえ、「NFTはWeb3に含まれないし結局は中央集権的」との持論を展開していたことも印象的であった。

これらに加え、ひろゆき氏は時価総額の低いブロックチェーンは51%攻撃を受ける可能性があると主張したほか、新興的なプロジェクト以外でDAOが成立しないなどの考えも展開した。

それでも、ブロックチェーンはホストを置かずにデータを残せる点で面白いとし、自身もMove to Earnゲーム「STEPN(ステップン)」をプレイしていると明かした。その上で、Web3が社会に寄与できるものかは現時点で疑問符がつくと述べ、「ゲーム領域での活用が限界かもしれない」と語った。

こうした主張に対して、渡辺氏は「ブロックチェーンは凄いけどクリプトがすごくないというのは違和感がある」と述べ、「ブロックチェーンが成立するのは暗号資産があるから」と語る。また現状の法律面を踏まえ、「動けない部分もある」とコメントし、そうした課題が解決されていくとより多方面でWeb3の力が発揮されていくとの考えを示した。

さらにDAOについてはネットワークのアップデートが分散的に行われることが重要だと述べ、Web3の普及につながる要素として、ソラナ(Solana)が発表したブロックチェーンスマートフォンを例に出し、国内大手キャリアがこうしたデバイスをサポートするようになったら面白い状況になるのではないかと予測した。

左から渡辺氏、西山氏、福澤氏、守安氏、ひろゆき氏、内藤氏、千葉氏、藤本氏

熱気を帯びた渋谷の夜

第二部では、1月28日、29日の両日に開催された音楽イベント「GMO SONIC2023」にも出演した世界的DJ・スティーブ・アオキ氏によるスペシャルパフォーマンスが行われた。

「GMO SONIC2023」の前夜祭という位置づけで行われた本イベントに華を添える形で、そのパフォーマンスに多くの人々が酔いしれた。

パフォーマンスの様子
スティーブ・アオキ氏

まとめ

今回のイベントは関係者向けとして行われたが、将来のITやWeb3領域等の課題を改めて再認識することができるものであったと言える。

特にWeb3を取り巻く課題については取り組まなければならないものが多く、一般への浸透や有効に活用していくためにも、業界全体がより強く意識していく必要があるだろう。

今後もこうしたイベントを通じて、業界に対する率直な意見を取り入れる姿勢と機会が重要となる。

画像:GMOインターネットグループ