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誰でもわかる、暗号資産(仮想通貨) 第1章

暗号資産(仮想通貨)とは?

新型コロナウィルスの感染拡大で揺れる世界経済。暗号資産(仮想通貨)もその影響を受けて一時は価格を大きく下げたものの、8月末現在コロナ渦による暴落以前より高い水準にまで達している。
今、あらためて注目を浴びている暗号資産を基礎を、1から学んでみよう。

① そもそも暗号資産(仮想通貨)の仕組みって?

 暗号資産(仮想通貨)とは、インターネット上でやりとりできるデジタル通貨の一種である。最大の特徴は、基本的に中央集権的な管理者が不在な点だ。たとえば私たちが普段使う通貨である円は、日本の中央銀行が発行する通貨である。一方、ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)は特定の機関や組織によって発行されるのではない。発行される総数や、新規発行されるペースもあらかじめプログラミングされているのだ。円などの法定通貨は、経済政策などによって大量に新規発行されることがあるが、暗号資産(仮想通貨)においてはそのような恣意的な新規発行は不可能になっているのだ。法定通貨の価値は、その通貨を発行する政府の状況に大きく左右される。たとえば経済政策の失敗や、過剰な通貨発行によってインフレが起きた国の通貨は価値が一気に下がってしまう。日本円は価値が比較的安定しているが、世界にはインフレによって自国通貨への信用がなくなり、価値が暴落してしまっている国も少なくない。それらと比較して、ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)は特定の政府や組織によって管理されていないことになる。そういった特徴を指して「非中央集権的な通貨」とも呼ばれることがある。

② ブロッチェーンってなに?

 ではなぜ、特定の政府が発行しておらず、管理する人も存在しないという仕組みが可能なのだろうか。それを実現しているのがブロックチェーンという技術である。
ブロックチェーンとは、取引データをブロックと呼ばれる単位ごとにまとめて記録する仕組みである。「AさんがBさんに1BTC(ビットコインの単位)を送った」というようなやりとりの履歴をすべて記録している台帳だと考えると理解しやすいだろう。
ビットコインは誕生してから今日までのすべての取引履歴をブロックチェーンに記録しているのだ。これにより、ビットコインの所有者が誰なのかを完全に確認できる仕組みが実現している。ブロックチェーンは、世界で最初に誕生した暗号資産(仮想通貨)であるビットコインを支える仕組みとして誕生した。ビットコインは「世界中で使われる非中央集権的なデジタル通貨」を目指しており、それを実現する技術こそがブロックチェーンなのである。ビットコイン以降には様々な暗号資産(仮想通貨)が誕生しており、ブロックチェーンに記録されるデータもコインのやりとりの履歴だけではなくなっている。
それぞれの暗号資産(仮想通貨)の用途に応じて、様々なデータが格納されるようになっているのだ。

ではその台帳への記録や、台帳の保管は誰がしているのか。ビットコインの場合、それは「マイナー」と呼ばれる人たちである。マイナーとは、自身のコンピュータの処理能力を、ビットコインのブロックチェーンを維持管理するために貸し出している人のことだ。つまりビットコインのブロックチェーンは世界中のコンピュータによって維持管理されているのだ。なお、ビットコインのマイナーには、誰でもなることができる。そして、自身のコンピュータの処理能力を貸し出す報酬として、新規発行される通貨が受け取れる仕組みになっている。
世界中のコンピュータによってデータが分散して管理されているため、ブロックチェーンは誰にも改ざんできない仕組みとなっている。高いセキュリティが保たれている点がブロックチェーンの強みのひとつと言えるだろう。

③ 暗号資産(仮想通貨)は何種類くらいあるの?

 現在、暗号資産(仮想通貨)は3000種類以上も存在すると言われている。ビットコイン以降に誕生した暗号資産のことを、一般的にはアルトコインと呼ぶ。アルトコインはビットコインとブロックチェーンの仕組みを応用し、通貨としての利便性を改良したり、あらたな機能を備えたりすることを目的として次々と誕生してきた。
 ビットコインは特定の発行者が存在せず、あらかじめ定められているペースで新規発行が行われているが、その他の暗号資産の中には、特定の企業や組織が発行しているものも大量に存在する。そのような暗号資産には中央集権的な管理者が存在することになるため、ビットコインが持つ「非中央集権的」という特徴は備えていないことになる。そのかわりに発行者である企業などが発行量や市場の流通量をコントロールし、投資家や利用者が安心して通貨を保有・利用できるようにしているのだ。

④ 暗号資産(仮想通貨)を購入するにはどうしたらよい?

暗号資産(仮想通貨)を購入する場合、基本的には暗号資産(仮想通貨)取引所を利用することになる。暗号資産(仮想通貨)取引所とは、暗号資産(仮想通貨)の売買をするための仲介所である。
株取引において利用される証券取引所の、暗号資産(仮想通貨)版と言えるだろう。
 暗号資産(仮想通貨)取引所は世界中に存在している。最も大きな違いは、取引可能な暗号資産(仮想通貨)の種類である。ビットコインやイーサリアムという有名な暗号資産(仮想通貨)はほぼ全ての取引所で売買できるが、そのほかの暗号資産(仮想通貨)は上場(取引所内で売買可能になっていること)されていなければ取引できない。
取引所は大きく分けると、日本国内の企業が日本の金融庁に認可を受けて営業し
ている国内取引所と、海外で開設されている海外取引所が存在する。国内取引所は運営企業の信頼性が高く、利用者への保障体制も整っているが、取り扱っている暗号資産の種類が少ないという特徴を持っている。一方、海外取引所は上場されている暗号資産(仮想通貨)の種類が非常に多いため、より多くの暗号資産(仮想通貨)に投資したい人によく利用されている。

⑤ 暗号資産(仮想通貨)のメリットとデメリットは?

 暗号資産(仮想通貨)には、多くのメリットがある。その1つが、24時間365日いつでも取引できるという点だ。たとえば株式は、証券取引所の営業時間しか取引ができないようになっている。また、日本円も銀行の営業時間しか送金が完了しない。しかし暗号資産(仮想通貨)は、いつでも、世界の誰とでも取引できるのだ。
 また、暗号資産(仮想通貨)はボラティリティ(価格変動幅)が大きいという特徴を持って
いる。暗号資産(仮想通貨)といえば投資による利益幅の大きさで知られており、少額投資でも大儲けできる可能性を持つ投資商品として注目されているのだ。ただし、ボラティリティが大きさは大きな損失につながる可能性もあるため、ハイリスク・ハイリターンなものと言える。
 その他のデメリットとして、まだ歴史が浅いため、システム面が整備されていない点が挙げられる。暗号資産(仮想通貨)取引所のハッキングなどによって損失を被ってしまう可能性がある点には注意が必要だ。

⑥ なんで詐欺が多いの?

 暗号資産(仮想通貨)=詐欺という印象を持っている人も少なくない。実際、暗号資産(仮想通貨)業界では詐欺被害が多数報告されている。なぜ暗号資産(仮想通貨)による詐欺が多発しているのだろうか。
 それは、暗号資産(仮想通貨)は誰でも発行できるものだからだ。悪意を持った人や組織が暗号資産(仮想通貨)を発行し、それをあたかも価値が高いもののように見せかけて投資家に売りつける、という手法が横行している。法定通貨の場合は政府や中央銀行が国民を騙すことはありえないが、暗号資産(仮想通貨)は誰でも発行できるため、そこに悪意が入り込むことを完全には排除できない仕組みになってしまっているのだ。誰でも発行できて世界中の誰でも売買できる点が暗号資産(仮想通貨)の魅力だが、そのような自由さは詐欺のリスクと隣り合わせになっている点は理解しておく必要がある。
 なお、暗号資産(仮想通貨)の詐欺を避けるために気をつけるべきこととして次のような文言を使う人を見たら詐欺だと判断するように心がけて欲しい。「絶対に儲かる仕組み」「あなただけに特別に儲かる情報を教える」。これらは暗号資産(仮想通貨)に限らず、どの分野でも使われる詐欺師の常套句である。

⑦ 暗号資産(仮想通貨)に関する税金ってどうなの?

 暗号資産(仮想通貨)の税制は、株式投資などと比べて不利なものになっている。このような税制の変更を求める声はあるが、2020年時点では変更されていない。具体的には「暗号資産(仮想通貨)取引による所得が20万円を超えたら確定申告が必要」「利益は雑所得に分類され累進課税になっている」といった点を覚えておこう。累進課税になっていることで、所得が4000万円を超えると45%もの税率がかかってしまう。大勝ちしても約半分を税金として納める必要があるのだ。

⑧ マイニングって儲かるの?

ブロックチェーンを維持するためにコンピュータの処理能力を提供することをマイニングと呼び、マイニングをする人のことをマイナーと呼ぶ。先に紹介したとおり、マイナーは新規発行される暗号資産(仮想通貨)を報酬としてもらえるようになっている。したがってマイナーとなって暗号資産(仮想通貨)を入手し、それを売却することで儲けることも可能なのだ。ただし、ビットコインなどの有名通貨には既に多くのマイナーが存在しており、さらにマイナーを束ねているマイニングプールという組織も存在する。個人が所有するパソコンを使ってマイニングに参加することもできるが、マイニング競争は熾烈化しているため、そう簡単に暗号資産(仮想通貨)を手に入れられるものではなくなっている。

⑨ ステーブルコインってなに?

 暗号資産(仮想通貨)のなかでも、価格が安定するための仕組みを採用しているコインのことをステーブルコインと呼ぶ。たとえば法定通貨を担保として預け、そのかわりに暗号資産(仮想通貨)を発行するなどして、価格が大きく変動しないようにあらかじめ調整されている。従来の暗号資産(仮想通貨)はボラティリティが大きいため、投資商品としては魅力的だが、日常的に利用するには信頼性が乏しいという欠点があり、ステーブルコインはそれを補うものとして注目されている。昨年話題になったリブラをはじめ、米ドルとほぼ同価値となるように調整されているUSDTといった暗号資産なども存在する。今後、暗号資産(仮想通貨)が日常的に利用されるために、ステーブルコインがさらに普及すると言われている。

『第2章 代表的な暗号資産(仮想通貨)とトークン』

『第3章 ブロックチェーンとは?』

『第4章 ブロックチェーンの種類』