2023.01.11
米暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)は10日、全従業員の20%にあたる約950人を削減すると発表した。
暗号資産市場の冷え込みが強まる中で、さらなるコスト削減を行うことで事業の安定化を図る。
コインベースはこれまで、市況に応じたシナリオを用意して年次計画を作成していたものの、いわゆる「暗号資産の冬」と景気後退等を含めた不安定な経済状況が重なるのは初めてのことだと述べている。その上で、2023年の計画を立てるために従業員削減は避けて通れない道であることを強調した。
コインベースのCEOであるブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)氏は発表で、「昨年、市況が悪化した際に従業員を削減したが、あの時にもっと踏み込むことができたはずだ」と述べた。コインベースは昨年6月に約1,100人の従業員削減を行なっている。
さらに、「2021年の強気相場の時にコインベースが急成長したが、従業員拡大に集中しすぎていた」と付け加えている。暗号資産市場の低迷を乗り切り、来たる機会に備えるためには適切な業務効率を確保する必要があるとした。
発表によると、成功する可能性が比較的低いプロジェクトを停止するとしており、この中から従業員が削減される可能性が考えられる。また、他のプロジェクトについても従業員を削減するものの、通常通り運営自体は行われるという。
削減対象になった従業員はすでにコインベースのシステムアクセス権限が削除されたようだ。今後、米国で勤務していた従業員については最低14週間の基本給や健康保険、その他の福利厚生を享受できるようにすると説明している。米国外の従業員に対しては、各国の雇用法に沿った同様のサポートを行うとしている。
暗号資産業界では市況の悪化に伴う従業員削減が相次いでいる。
今年に入り、暗号資産取引所フォビ(Huobi)が約20%相当の従業員削減を発表。また、デジタル・カレンシー・グループ(Digital Currency Group)傘下で暗号資産レンディグ等を手がけるジェネシス・グローバル(Genesis Global)も同じく30%ほどを削減するなど、厳しい状況が続いている。
画像:Shutterstock