2022.11.28
イングランド銀行副総裁のジョン・カリフ(Jon Cunliffe)氏は21日、Warwick Business Schoolsのカンファレンスで行った講演で、暗号資産(仮想通貨)規制とDeFi(分散型金融)についての考えと、CBDC(中央銀行デジタル通貨)について語った。
まず、直近で暗号資産業界を揺るがした暗号資産取引所FTXの破綻については「関係当局による多大な時間、労力を掛けた調査が必要になる」とし、崩壊の引き金となったのは「FTXトークン(FTT)の暴落である可能性がある」と指摘。これに関連して、「価値の裏付けがされていない暗号資産は本質的な価値がないため、非常に不安定だ。ここ数ヵ月の間に見られたように、そのような暗号資産は暴落の対象となり、価値は非常に速く変化している」と述べた。
さらに暗号資産業界全体でみれば、この1年間で「安定したエコシステムではないことを示した」とし、業界の中心で活動する取引所や企業についてもほとんど規制されていない空間に存在し、従来の金融セクターの規制が回避するために設計されているため、リスクを非常に受けやすいとの見解を述べた。その上で、FCA(英国金融行為規制機構)が過去、FTXについて「FCAの認可を受けていない商品を提供している可能性があり、問題があったとしても投資家に返金される可能性は低い」と警鐘を鳴らしていたことを挙げている。
DeFiについてもガバナンス管理などで不明瞭な点が多々見受けられると指摘しており、「真の分散性」をどの程度確保しているのか明らかになっていないと述べた。
カリフ氏はFTXの破綻を受け、暗号資産規制を早急に行うべきだと強調した。特に「消費者保護」と「金融の安定性の確保」、そして「イノベーションの促進」の3つが重要だとしており、これが暗号資産関連事業者を既存の規制の枠組みに取り込む理由になると説明している。
またステーブルコインについては、損失を吸収する資本、高品質かつ流動的な資産で完全に裏打ちされていることを補償するため「ノンバンクのステーブルコインに規制上の保護措置が必要である」と述べた。
CBDCについては、「私たちの計画を次のステップを示す協議報告書を年末に発行する」と述べ、「FTXの崩壊はデジタルネイティブポンドを発行する必要があることを示している」と強調している。「デジタル化が進む経済では物理的な現金ではなく、新しい形のトークン化された通貨を利用する可能性があり、将来的には同じ機能を果たすためにデジタルポンドが必要となる」と述べた。
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