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韓国銀行、CBDC実験の第2段階を完了 NFT購入やオフライン取引等を検証

韓国の中央銀行にあたる韓国銀行(Bank of Korea:BOK)は、CBDC(中央銀行デジタル通貨)のオフライン実装および国際送金、CBDCを活用したNFT(非代替性トークン)の購入などに関する実証実験を行ったと発表した。現地メディア・聯合ニュースなどが報じた

BOKのチャン・ヨン・リー(Chang Yong Rhee)総裁は今年9月のスピーチで、10ヵ月に渡り行われた韓国のCBDCに当たるデジタルウォンの実験を完了したと明らかにしていた。

第1段階は昨年8月から12月にかけて実施され、分散型台帳技術を基盤としたCBDCの模擬実験環境をクラウド上に構築した後、発行や流通、還元などの機能について実験を行っていたという。

今年6月までに実施された第2段階では、オフライン取引とデジタル資産取引、政策支援業務など機能を拡張して実装の可能性をチェックしたようだ。また、個人情報保護強化を念頭にゼロ知識証明および分散型台帳技術などの技術への対応も実験したという。

オフライン取引の実験では、モバイル機器と集積回路(UC)カードなど、送金者と受取人の電子機器がいずれもインターネットに接続されていない状況で、近距離無線通信(NFC)など機器に搭載されている自己通信機能を通じたCBDC取引が可能であったことが確認された。これにより、通信障害や災害などの状況でも、CBDCによる取引が可能だとした。

さらに、スマートコントラクトを活用し、CBDCを利用してNFTを購入することにも成功したほか、他国のCBDCシステムと連携して国家間送金サービスを実現するためのテストプログラムも開発し、成功したという。韓国と米国がそれぞれ異なる分散型台帳技術に基づきCBDCを発行したという仮定のもと、仲介機関間の両替などを経て国家間送金取引に成功した。

また、利用者が保有するCBDCに利子を課すことを可能とし、凍結や差し押さえ、解除など裁判所の執行命令を履行するために、機関および利用者のデジタルウォレット内にあるCBDCの差し押さえを可能とする機能も実装したという。疑わしい取引報告(STR)や高額現金取引報告(CTR)などの規則に基づき、マネーロンダリング(AML)やテロ資金調達防止(CFT)監視システムも構築し、疑惑発生時に規制当局に報告が通知される機能も構築した。

一方で、課題も見つかった。

CBDCの模擬システムが最大毎秒2,000件の取引を処理できることがわかったが取引が集中することで応答時間が遅れたという。これにより、取引が普段よりも3倍から4倍ほど集中する時期や、大量取引のリアルタイム処理が必要な少額決済システムなどに対応するためには応答時間の改善が必要だと判断された。分散型台帳技術と個人情報保護強化技術の適用についても現段階では限界があるという。

BOKは今回の研究事業の完了後も構築されているCBDC模擬システムの機能と性能をより綿密に実証していくため、14の銀行および金融決済院など15の機関と協力して今後も実験を続けていくとしている。

画像:Shutterstock

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