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香港金融管理局がリテール型CBDCの政策スタンスと概要を発表

香港の中央銀行にあたる香港金融管理局(HKMA)は20日、リテール型中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行に向けたロードマップを発表した。

HKMAはCBDCへの対応として、香港の将来を見据えた「Fintech 2025」戦略の一環で「e-HKD」と名付けたリテール型CBDCの発行を計画していた。

昨年10月に「e-HKD」のハイレベルな技術設計に関する論文、今年4月には主要政策および設計上の問題などに関する論文を発表し、2回の市場コンサルテーションを実施してきた。コンサルテーションでは、合計で75の回答が寄せられた。

全体的に回答者はe-HKDの取り組みを支持しており、e-HKDがデジタル経済を支えながら、決済をより効果的にする可能性があると考えているという。

一方で、プライバシー保護、法的考察、ユースケースなどの問題についてさらに検討する必要があるとの指摘もあったようだ。調査結果や寄せられた意見を考慮し、HKMAは将来的なe-HKD導入の可能性を視野に入れ、ロードマップを作成したという。

HKMAはアプローチとしてまず3つのステップを通じてe-HKDの導入を図っていく。

ステップ1は、e-HKDの導入を支援するための技術、法的基盤の構築を行う。具体的には、2層のe-HKDシステムのうち、ホールセール型を整備する計画を策定する。この構築には計画を策定するまで9ヵ月、開発には2年から3年を要する見込みだという。

ステップ1と平行して実施されるステップ2では、HKMAは、e-HKDに関連するユースケース、アプリケーション、実装、設計の問題を深く掘り下げて検討する。様々な関係者と緊密に連携し、一連のパイロットテストを通じ経験を積む予定としている。

ステップ3はe-HKDの立ち上げに関わるものだ。1と2の成果を集約し、より綿密な実施計画を立て、e-HKDの開始スケジュールを設定する。

香港は2017年からCBDCの研究に取り組んできた。今回の発表を通じて、本格的にCBDC発行へ向け動きを加速させていくことがうかがえる。

また、中国人民銀行(PBoC)がデジタル人民元(e-CNY)のトライアルを最も人口の多い広東省をはじめ、江蘇省、河北省、四川省に拡大することがわかった。

South China Morning Post(SCMP)によると、範一飛(Fan Yifei)副総裁が19日に金融フォーラムで語ったようだ。

中国のCBDCのトライアルは過去2年間に渡り行われている。トライアルは都市単位で行われ、多くの市民が少額のデジタル人民元を手に入れることができる抽選が行われた。また、普及促進のため商店にはデジタル人民元での支払いを受け入れることを奨励している。

昨年10月時点で、約1億4000万人がデジタル人民元ウォレットを開設し、取引総額は約620億元(約1兆2,500億円)に達した。

画像:Shutterstock

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