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1億4000万人がデジタル人民元のウォレット保有と判明 取引額は1兆円超に

中国の中央銀行にあたる中国人民銀行(PBoC)の高官が3日、同国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)にあたるデジタル人民元に関して、10月の時点で約1億4000万人がウォレットを開設し、取引総額が約620億元(約1兆1,000億円)に達したと発表した。4日、ロイターが報じた

3日、香港の「Fintech Week」カンファレンスで、中国人民銀行のデジタル通貨研究所(Digital Currency Institute)所長のMu Changchun氏は、日常的な取引や決済において現金の代わりとして開発されたデジタル人民元は、個人や企業の間で人気を博していると語った。

デジタル人民元の正式な開始時期はまだ決まってはいないが、今後、2022年に北京で行われる冬季オリンピック会場において、試験的にシステムを導入する予定であることを明らかにしている。現在、十数の主要都市でデジタル人民元の実証実験を開始している。

Mu氏によると、155万の加盟店がデジタル人民元での支払いを受け付けており、その中には公益事業、ケータリングサービス、交通機関、小売店、政府系サービスなどが含まれるという。

デジタル人民元のウォレットは電話番号だけでアクティベーションでき、上限として年間5万元(約90万円)まで取引可能だ。この年間5万元の制限を取り払うためには、個人識別情報を持って銀行窓口に行き手続きをする必要がある。

中国は現金決済をデジタル人民元に完全に置き換える試みをしている。2020年4月から、主要都市、蘇州、深セン、成都、雄安新区で大規模な試験運用を開始した。

1年前の「Fintech Week」カンファレンスでPBoCの李剛総裁は、デジタル人民元のパイロットプロジェクトでは4都市で400万回の取引が行われ、20億元(約360億円)が使用されたと述べていた。

この試みが地理的に拡大したことに加え、CBDCの人気、需要拡大により、デジタル人民元のトランザクションは1年間で3000%増加したことになる。

世界各国の中央銀行は、自国の金融システムを合理化し、国内外の決済の迅速化を図るため、中央銀行デジタル通貨の開発を検討している。中国の取り組みは世界的に見て最も進んでいると言える。

画像:Shutterstock