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フィリピン中銀がホールセール型CBDCのパイロット版を運用開始へ

フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas:BSP)は27日、国内決済システムの安定性を促進する取り組みの一環として、中央銀行デジタル通貨(CBDC)のパイロットプロジェクトを開始することを決定した。

「Project CBDCPh」と名付けられたこのパイロットプロジェクトは限られた金融機関で実施される。24時間365日、大口の金融取引にCBDCを使用することを想定しテストするものだ。

フィリピン中央銀行のベンジャミン・E・ディオクノ総裁は先週、ワシントンDCで開催された国際通貨基金(IMF)と世界銀行の春季会合で開催された第14回金融包摂同盟政策立案者会合で「Project CBDCPhはフィリピン中央銀行のみならず、金融業界全体にとってホールセール型CBDCの機会とリスクを理解するための大きなステップとなる」と述べていた。

27日の説明では「パイロット版から得る教訓は、フィリピンの決済システムを強化するより進化したホールセール型CBDC計画に向けた、フィリピン中央銀行の中長期のロードマップを構築する上で非常に重要」と説明した。

Project CBDCPhは業務分野を確実にカバーするため、セクターを横断するプロジェクト管理チームにより運営される。管理チームがイニシアチブを取って、政策・規制、技術インフラ、ガバナンス・組織要件、法的事項、支払・決済モデル、照合手順、リスク管理などについて検討を行っていく。

一般市民が利用することを目的としたリテール型CBDCと対照的に、ホールセール型CBDCは主に銀行や他の金融機関に限定される。

ディオクノ総裁は「ホールセール型CBDCは国境を超えた大規模な外貨送金に関する摩擦や、商業銀行の資金を株式で使用することによる決済リスク・エクスポージャー、日中流動性ファシリティの運用に貢献する可能性がある」と述べた。

フィリピン中央銀行では、クロスボーダー決済、株式証券決済、日中流動性ファシリティ(ILF)にホールセール型CBDCを使用することを想定しているという。

同行は2020年にCBDCの専門委員会を立ち上げ、2021年からCBDCの性質、金融システム全体の影響などに関する調査を始めていた。これまでに、国内決済システムの安全性、回復力、効率性を高めることを目的とする企業や自治体、機関投資家向けのCBDCの活用事例などを見定めてきた。

画像:Shutterstock