2022.09.19
米SEC(米証券取引委員会)のゲーリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長が、PoS(プルーフ・オブ・ステーク)をコンセンサスアルゴリズムとして採用している暗号資産(仮想通貨)について、証券規制の対象になる可能性があると言及した。15日、Wall Street Journal(WSJ)が報じた。
PoSに関しては、先日イーサリアムにおいて大型アップデート「マージ(The Merge)」が行われ、従来のPoW(プルーフ・オブ・ワーク)から移行されたばかりだ。
ゲンスラー委員長はPoSを採用する暗号資産について、「投資家が保有する資産が証券であるかどうかを判断するために裁判所が使用する重要なテストに合格する必要性が出てくるかもしれない」と述べたという。委員長の述べたテストは「Howeyテスト」と呼ばれているもので、投資家が第三者からリターンを得ることを期待しているかどうかを検証するものだ。
また、「ステーキングされた暗号資産は連邦証券規制の対象になる可能性がある」と述べたようだ。特定の暗号資産に関する話ではないとゲンスラー委員長は否定したものの、マージ完了から数時間後にコメントが出されたこともあり、今後イーサリアムも証券としてみなされる可能性が示唆された形と言える。
先日、ゲンスラー委員長は、米上院の銀行・住宅・都市問題委員会で行う証言の原稿を提出していたが、その中で、「暗号資産市場の時価総額の大半を占める少数のトークンは非証券化トークンである可能性が高い」と述べていた。
少数のトークンではビットコイン(BTC)を暗に示している。これまでもゲンスラー委員長はビットコインについて、「コモディティに相当する」と公言しており、米商品先物取引委員会(CFTC)管轄がふさわしいと述べていた。その少数のトークンの中にイーサリアムも含まれると思われていたが、発言を避けていた。
一方で、原稿の中では「PoSブロックチェーンは投資契約のような性質がある。そのようなトークンはSECの管轄下におかれるべき」とも述べていた。こうした姿勢からも、PoSへと移行したイーサリアムはコモディティではなく、証券に値し、SECの管轄下に置かれ、監視強化対象になる可能性が高まった。
ゲンスラー委員長は「ほとんどの暗号資産は証券である」というSECの長年の主張を繰り返し「多くの暗号資産取引所は、中央集権的であろうと分散的であろうと、SECに登録する必要がある」と述べている。
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