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ビットコイン、パウエルFRB議長の講演を受け大幅下落 過剰反応の声も

26日、米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれた経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で、パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長の講演が行われた。

議長は改めて、成長鈍化などの「痛み」を伴ったとしても、インフレが抑制されるまで、当面の金融引き締めは必要という見解を示した。

パウエル議長の発したタカ派発言は、米株式市場に大きなインパクトを与えた。特にハイテク株関連は大きな打撃を受け、ナスダック指数は前日比497.56(3.94%)ポイント安の12,141.71ポイントまで下落。ダウ平均も前日比1,008.38ドル(3.03%)と大幅に下落し、S&P500においても前日比141.46(3.37%)ポイント安の4,057.66ポイントで26日の取引を終えた。

世界的に物価が高止まりしている状況を踏まえ、FRBが金融引き締めを加速度的に行うとの警戒感が露わになった格好だ。

一方でパウエル議長は「金融政策がさらに引き締まるにつれ、ある時点で利上げペースを緩めることが適切となる可能性もある」と語った。同発言は8月17日に公表されていた7月開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨にも記されている。

暗号資産(仮想通貨)市場においても、パウエル議長の発言が大きく響いた。

ビットコイン(BTC)は26日の米株安と連動する形で大きく下落。29日のアジア市場ではさらに下げ幅を広げ、一時1万9500ドル(約270万円)ほどまで価格を落とした。

記事執筆時点では2万ドル(約277万円)前後を推移しており、依然として強い警戒感が漂っている。パウエル議長の講演を機に、ポジションが巻き戻された形だ。

また、イーサリアム(ETH)も記事執筆時点で節目である1500ドル(約20万8,000円)を下回っているが、大型アップデート「マージ(The Merge)」が近づくにつれ、巻き返しに期待がかかる。

一方、バング・オブ・アメリカ(Bank of America)は26日、イーサリアム価格の急落を受け、「投資家はイーサリアムのPoS(プルーフ・オブ・ステーク)への移行がスケーラビリティへの懸念、高い取引手数料に対処できないと考え始めた」と顧客向けレポート内に記した。

イーサリアムが短期的には相場の底上げに貢献したものの、マクロ経済のセンチメントが弱まっていることやビットコインのテクニカル指標が下落傾向であることを踏まえると、長期的には軟調な動きになると見ているようだ。

それでも、一部ではパウエル議長の発言を受けた市場の反応を「過剰反応だ」と指摘する声もあり、発言の妥当性や合理性が理解されるにつれ、相場に落ち着きが戻るとの見方もある。

今回、パウエル議長は金融引き締めについて、引き続き「今後の指標のデータ次第」というスタンスを示した。

今週は9月1日にISM製造業景況感指数、そして2日に8月雇用統計といった重要指標の発表がある。これらの結果が9月に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)にも大きく影響することが想定されるため、注視する必要があるだろう。

画像:Shutterstock

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