2022.08.22
ステーブルコイン・USDTを発行するテザー(Tether)社は19日、最新の四半期の保証意見書を公開し、現在保有しているコマーシャルペーパーが前四半期と比較して58%以上削減したことを発表した。
6月30日時点でコマーシャルペーパーの保有額を200億ドル(約2兆7,500億円)から85億ドル(約1兆1,600億円)まで減少させており、今後8月末までに2億ドル(約275億円)まで減少させ、年内には保有量を0にする予定とのことだ。また、会計期間中にテザー社の現金や銀行預金の保有量は32%増加させたという。
足元では暗号資産(仮想通貨)市場において低調な動きが続いており、業界全体にも連鎖的な破綻や買収等が行われてきた。今回のテザー社の発表は、そのような状況下も財務の安定性を示す形となった。
テザー社は過去にUSDTの裏付け資産を全額保有していないなどの疑惑が浮上したが、2021年2月に米ニューヨーク司法当局と和解。その後、同年5月より準備金の内訳を定期的に公開し、市場の懸念を払拭する取り組みに注力してきた。
2021年5月時の現金および現金等貨物を占めるコマーシャルペーパーの割合は65.39%であったが、今回の発表では同項目において15.89%まで削減されている。このことからも、裏付け資産の透明性を向上させる姿勢がうかがえる。
テザー社のCTOであるパオロ・アルドイノ(Paolo Ardoino)氏は「我々は市場をリードするステーブルコインとしての役割を果たす必要があり、それを維持することに対して全面的にコミットしていく」とコメント。
続けて、「我々テザー社の有用性は、準備金の情報開示による透明性の確保から成り立っており、暗号資産市場における安定化のためのツールとしての基盤になっている。今後もトップクラスの会計事務所であるBDOと提携することで、より市場に対しての信頼を維持しながら、私たちがステーブルコインのグローバルスタンダードとなるべく努力していく」と述べた。
ステーブルコインは暗号資産市場において必須のプロダクトだ。一方で、信頼性の確保という点については課題が残っている。そうした状況からも、テザー社による裏付け資産の公開は透明性および信頼性の確保において重要であると言える。
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