月間暗号資産

  • HOME
  • NEWS
  • テザー、ニューヨーク州司法当局と和解

テザー、ニューヨーク州司法当局と和解

米ドルとペッグしたステーブルコイン・テザー(USDT)を発行しているTether社と同社の関連会社であるBitfinexが、ニューヨーク州司法当局と和解したことが明らかになった。23日、Tether社がプレスリリースで発表した。

Tether社は2018年末に、Bitfinexの約8億5000万ドルに及ぶ巨額損失を、自社の資金を密かに使用してカバーしたとニューヨーク司法当局から訴えられていた。

また同時に、ニューヨーク州司法当局はTether社がUSDTに対する実際の米ドルの準備金の量について偽っていたと主張しており、約2年に渡って係争中だった。

これまでTether社は、250万ページを超える関連資料を提出し、ニューヨーク州司法当局の訴えを否定。USDTとドルにペッグする1:1の準備金を保有していることも明言していた。

今回の和解条件について、テザー社はニューヨーク州司法当局の主張は認めなかったが、1850万ドル(約19億5,000万円)を支払うことで和解したという。

和解条件にはTether社が四半期ごとの準備金に関する報告をすること、さらに同社とBitfinex間の取引開示や、ニューヨーク州におけるサービス提供の停止も盛り込まれた。

Tether社とBitfinexの弁護士であるJason Weinstein氏は、海外暗号資産(仮想通貨)メディアTHE BLOCKの取材に応じ、「Tether社がこれまでに準備金の裏付けなしにUSDTを発行していたという当局の主張は認められなかった」と見解を語った。

また、Tether社側は和解金を支払うことについて、「この問題を終わらせ、事業に集中したい」と、その理由を語った。

その上で、Tether社の公式Twitterでは、「我が社は準備金の裏付けなしに暗号資産価格に影響を与えるようなUSDTの発行をしたことはありません」「この和解は、暗号資産業界の将来性と、透明性を約束するものです」「今回の和解を我々は喜んでおります」と、法的紛争に終止符が打たれたことについてポジティブな見方を示した。

USDTは記事執筆時点で時価総額4位に位置している。米ドルとペッグしたステーブルコインとして、ユーザーに幅広く利用されているため、今回の訴訟の行方に注目が集まっていた。

今回Tether社が支払う1850万ドルの和解金は、約3兆7,000億円分発行されているUSDTの総量からするとごくわずかな額で、市場に与える影響は少ないと見られている。

画像:Shutterstock