2022.07.01
5月の米個人消費支出(PCE)が米株式市場時間に発表された。内容からは物価上昇圧力が家計を圧迫していることが浮き彫りとなった格好だ。
米金融当局がインフレ目標の基準値としているPCE総合価格指数は前月比0.6%上昇し、インフレ調整前のPCEは前月比0.2%の増加、個人所得は前月比0.5%の上昇となった。低調な個人消費の統計を受け、リセッション(景気後退)への懸念が強まった。
NYダウ平均は前日比253.88ドル安(0.82%)の30775.43ドル、ナスダックは前日149.16ポイント安(1.33%)の11028.74、S&P500は前日比33.45ポイント安(0.88%)の3785.38で終えた。S&P50は1月から6月では21%安となっており、1970年以来の大幅安となった。
近頃、米株との相関性が高まっているビットコインだが、この日はグレースケール(Grayscale)とビットワイズ(Bitwise)が申請していたビットコイン現物ETFが米証券取引委員会(SEC)に却下されたこと、加えて暗号資産ヘッジファンドのThree Arrows Capital(3AC)が英国領バージン諸島の裁判所から清算を命じられたなどの悪材料もあり、一時1万8000ドル(約242万円)台まで急落した。
それでも、1日のアジア時間になると反発し、2万ドル(約269万円)台まで回復。底付近で大口の買いが入り、連動した形で買いが入った。
ビットコイン反発の要因としては、エルサルバドルによるビットコインの追加購入が挙げられる。エルサルバドルのナジブ・ブケレ(Nayib Bukele)大統領は1日、Twitterで「エルサルバドルは本日80BTCを各1万9000ドルで購入しました。ビットコインは未来です。安く売ってくれてありがとう」とツイートした。昨日の底値付近で購入したという。
ビットコインの追加購入については先日、米マイクロストラテジー(MicroStrategy)も480BTCを平均20817ドル(約283万円)で追加取得したと明かしている。同社の購入総額は1000万ドル(約13億6,000万円)であった。
その後もビットコインを先導に暗号資産市場は全面高となり、米株やアジア株とは連動しない動きとなったが、日本時間正午にかけてはまた売りが加速しており、記事執筆現在は1万9000ドル(約256万円)台後半を推移しているなど、乱高下している。
暗号資産市場は依然として落ち着きを取り戻せていないものの、下値を試しては反発という形で2万ドル近辺を保っていることから、現在の相場が大底となる可能性もある。
また日本時間1日夜には米ISM製造業景況指数の発表があり、米株式市場をはじめ暗号資産市場にも何らかの影響が出る可能性があるため、注意が必要となるだろう。
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