2022.06.17
17日のビットコイン(BTC)は再び2万ドル(約269万円)の大きな節目に迫る推移を見せている。アルトコインも同様に再び大きく価格を落とすこととなり、暗号資産(仮想通貨)市場は全面安となっている。暗号資産市場の下落は、米株式市場による影響が大きいものと考えられる。
米時間16日の米株式市場は全面安となった。15日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利を0.75%引き上げる大幅利上げを決定した後、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が「利上げは短期的」と示唆したことで300ドル以上値を上げた。
しかし、翌16日にはスイス中央銀行が15年ぶりの利上げを発表したことで世界的に金融引き締めが加速するとの見方が強まり、景気後退の懸念から売りが先行した。
さらに、英中央銀行も16日に1.25%の利上げを発表。同値は2009年以来の高水準だ。
市場の予測に反したスイス中銀の利上げなどのサプライズにより、ダウ平均は前日比741.46ドル(2.42%)マイナスの29,927.07ドル、ナスダックは前日比453.05ポイント(4.08%)マイナスの10,646.10ポイント、S&P500は前日比123.22ポイント(3.25%)マイナスの3,666.77ポイントと、いずれも大きく下げる結果となった。ダウ平均が30000ドルを下回るのは昨年1月以来のことだ。
JPモルガン・チェースのストラテジストによると、S&P500種の値動きを見た際、米国の景気後退確率は85%だという。
また、日本株式市場は17日、米株式市場の動向も影響し大幅反落して取引を終えた。約1ヵ月ぶりに26,000円を割り込んで始まり、一時下げ幅は700円を超えたものの、最終的には前日比468円20銭安の25,963.00円で着地した。
日銀がスイス中央銀行のように政策を転換し、利上げに踏み切るサプライズを行うという観測も広まっていた。しかし、日銀は大規模な金融緩和策を維持する方針を決めた。
日銀の黒田東彦総裁は急速な円高進行について「経済的にはマイナスであり、望ましくはない」としているが、日本の消費者物価上昇率は欧米に比べるとまだ低水準であり、日本経済の回復もまた途上として、金融緩和の継続が適切とした。
世界の潮流とは逆の方針を示したことで、さらなる円安進行も考えられる。
日本時間17日21時45分頃にはパウエル議長の発言が行われる予定となっている。現在の市況において、同氏の発言は暗号資産市場および株式市場に大きな影響を与える可能性があるため、相場の大幅変動には十分警戒する必要がある。
特にビットコインは2万ドルの攻防が極めて重要となるため、注視した方がいいだろう。
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