2022.06.16
米連邦公開市場委員会(FOMC)は14、15両日に開催された定例会合で主要政策金利を0.75%引き上げることを決めた。1994年以来の大幅利上げとなる。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、7月の会合でも大幅利上げを示唆した。米国では激しいインフレが続いており、それを抑えるには強力な措置が必要と判断した。
今回の利上げにより、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は1.5~1.75%となった。FOMC参加者は政策金利について12月までに3.4%、2023年末までに3.8%に上昇すると見込む。
パウエル議長は会合後、「今回の75ポイント引き上げは異例。普通ではない」と説明し、引き上げが短期になることを示唆した。
今回の発表は事前の市場予想通りの結果となった。ゴールドマン・サックスのエコノミストによれば、6月、7月は0.75%、9月は0.5%、11月と12月が0.25%の利上げが行われると予想している。
利上げが短期で落ち着く予測が経ち、米株式は反発に転じた。ダウ平均は前日比303.7ドルプラスの30668.53ドル、ナスダックが前日比プラス270.8の11099.15ポイント、S&P500が前日比プラス270.8の3789.99ポイントと全面高で終えた。
ビットコイン(BTC)はFOMC懸念から売り込まれ、一時2万ドル(約268万円)割れに迫る大幅下落を見せたものの、パウエル議長の記者会見後から反発に転じた。
近頃の暗号資産(仮想通貨)市場はFOMC前に売り込まれ、議長会見後に上昇するというパターンが続いている。記事執筆時点でビットコインは2万2000ドル(約295万円)ほどを推移しており、揉み合いが続いている。
現在、ビットコインの恐怖指数を示すFear and Greed Indexは「8」に達している。これは2020年3月のコロナショック以来となる極度の恐怖水準だ。
また、レンディング大手のセルシウス(Celsius)の独自暗号資産・セルシウス(CEL)が乱高下しているほか、代表的なアルトコインであるイーサリアム(ETH)が低迷するなど、アルトコイン市場においても動揺が見られている。
一方、ビットメックス(BitMEX)の共同創業者で元CEOのアーサー・ヘイズ(Arthur Hayes)氏は14日、自身のTwitterで「ほとんどの精算が済んだ」と指摘。大底を示唆したが、同時に「ビットコインとイーサリアムがそれぞれ2万ドル、1000ドルのサポートを下抜けした場合、大規模な売り圧力がかかる」と警告している。
今回はヘイズ氏が指摘するデッドライン近くまで下落し、反発を見せた。依然として予断を許さない状況が続くため、引き続き警戒して市場を注視する必要があるだろう。
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