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JCBAがWeb3.0の推進念頭に「暗号資産の会計処理に関する意見書」を提出

一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)が9日、先日発表された日本政府の「骨太の方針」においてWeb3.0の推進が言及されたことを受け、意見書を企業会計基準委員会(ASBJ)に提出したことを発表した。

ASBJでは「資金決済法上の暗号資産又は金融商品取引上の電子記録移転権利に該当するICOトークンの発行及び保有に係る会計処理に関する論点の整理」に関してパブリックコメントを求めていた。

今回提出した意見書では、ICO(Initial Coin Offering)トークンに関する会計基準が未開発のため、トークン発行を検討する企業が発行の意思決定ができない状況を解決、ひいてはWeb3.0産業の推進を目的としたものとなる。

意見書では、Web3.0産業の市場規模の急速な拡大に伴い、米大手ベンチャーキャピタルa16zは今年5月に約5,700億円の暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン分野への投資ファンドを組成したと一例を挙げている。

日本においても「骨太の方針」でWeb3.0の推進に向けた環境整備に言及しているものの、実際に事業を行う上では様々な課題があると指摘する。問題点の1つとして、「プロジェクトが発行したトークンの売り出し時に、自社保有分に対して期末時価評価課税がなされる法人税制」を挙げた。

この問題が日本でWeb3.0事業を行うことを困難にし、シンガポール等への海外への人材・資金流出を加速させていると指摘した。

今回提出した意見の内容は以下の通りだ。

  • 基準開発の時期については、早期着手する
    会計基準が開発されていないことにより、財務報告に及ぼす影響が評価できないことに加え、会計監査人の監査報告を困難にし、ICOトークンの発行を検討する企業が発行の意思決定ができない。そのため、トークン取引の普及を妨げていることから、速やかに基準開発に着手するべき。
  • トークンの発行者における発行時の会計処理
    現在価値を測定するためのエビデンスと測定モデルが確率されていないこと、等価交換が成立していると判断できない取引が存在しているので、発行時に利益を計上するケースは考えられる。
  • 資金決済法上の暗号資産に該当するICOトークンの発行及び保有に関するその他の論点
    有価証券を作成した時点では発行体は義務を負うものではない。発行時に自己に割り当てられたICOトークンについては第三者が介在していない内部取引に該当するとし、会計処理の対象としない。
  • 無償配布に関する基準
    キャンペーンなどを通じICOトークンを無償で第三者に発行する、資金調達以外のトークンの発行に関する会計処理も会計基準の開発の検討を行うべき。

先日には一般社団法人日本暗号資産取引業協会(JVCEA)が暗号資産の上場前審査の撤廃を検討開始したことが報じられるなど、国内ではWeb3.0を念頭に様々な動きが見られている。政府が暗号資産・Web3.0に積極的な姿勢を打ち出したことで、今後さらに業界改革が進む可能性が高まっている。

画像:Shutterstock

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