2022.04.01
一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)は先月31日、内部のNFT部会が中心となり、NFT(非代替性トークン)関連のビジネスに関するガイドラインを改訂したと公表した。
今回の改訂では、主に権利関係の課題について焦点を当てた。例として、クエンティン・タランティーノ監督が映画「パルプ・フィクション」の脚本をNFT化し、販売することを発表した際、権利を保有する会社から訴訟を起こされたという事案があったとJCBAは説明。また、高級ブランドのエルメスがバーキンと類似したNFT「MetaBirkins」のマーケットプレイスでの販売を商標権侵害として訴訟を起こしたことがある。
海外ではNBA Top Shotのようにスポーツに関連するNFTが販売されているが、日本で同様のNFTを販売する場合、法的整理がされていないのが現状だ。
NFT部会では、昨年4月に発表したNFTビジネスに関するガイドラインにおける著作権等の項目を拡充し、事業者とユーザー間で必要なルールと留意事項について新たに章を設けた。
また、パッケージ販売とガチャの手法を用いたサービスの賭博への該当性について記述整理を行った。
まず、ユーザー保護の観点から、NFT関連サービスの終了や事業者の消滅でNFTが無効化・無価値化してしまう可能性のあるサービスの留意点として、ユーザーへリスク説明を行う必要がある。
ブロックチェーンを活用しているため、記録データは半永久的に残る可能性がある。顧客に対し、無価値化、無効化になった場合でもその記録は残る可能性があることを説明する必要があると記述した。
NFTを発行する事業者が留意すべき点として、民法上の所有権は、現在の民法上、発生しない(民法85条、206条)。しかし、創作的な表現として、著作権等の権利は当然発生する。
NFTは日本の法律上、曖昧な点が多く、法的解釈も複雑だ。デジタルコンテンツには多くの場合、権利者による発行が必要であるほか、発行・販売行為の時点で諸権利やライセンスが譲渡されるわけではない。そのため発行事業者は、購入者間で契約、利用規約等によってライセンスや譲渡対象の権利内容を適切に設定しなければならないと説明している。また、デジタルコンテンツの著作権等の権利を適切に処理する手当が必要となる。
NFTを取り扱う業者の留意点として、取引に関するルールの明確化が必要とした。ゲームについては、パッケージ販売やガチャの手法を用いてNFTを販売する場合、販売者は利用の対価として支払いを受けることになる。
購入者がその販売価格に応じたNFTを獲得していると評価できる事情があれば、「当該するサービスは購入者が販売者の間で財産上の利益の有無を競うものではないので賭博には該当しないと整理できると考えられる」とした。
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