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米ニューヨーク州が米ドル建ステーブルコインの発行に関するガイドラインを発表

ニューヨーク州デジタル金融サービス局(Digital Financial Services=DFS)が9日、米国建てステーブルコインの発行に関する新ガイドラインを発表した。米国においてステーブルコインの規制を発行する州は、ニューヨーク州が初となる。

DFSのエイドリアン・A・ハリス(Adrienne A Harris)長官は、この規制ガイドラインについて「DFSが2018年にニューヨークでドル裏付けのステーブルコインを発行して以来、消費者保護のため、この分野のおける我々の専門的知識を活かし、ステーブルコインを発行する暗号資産業者に対し、明確な基準を作成しました」と述べている。

ガイドラインによると、ステーブルコインに適用される主な規則は以下の通り。

  • 裏付けと換金性
    営業終了日時点のステーブルコインの全発行済ステーブルコインの価格が等しくならなければならない。ステーブルコインの発行業者は事前にDFSから書面で承認された償還方針を遵守し、保持者が償還を求めた場合、米ドル建てで時間差なく償還する。
  • 準備金の要件
    準備金となる資産は発行業者が保有する資産とは分離して構成しなければならない。米国財務省証券、米国財務省再建、リバースレポ契約、米国州あるいは連邦政府が認可した預金取扱機関の預金口座などで構成される必要がある。
  • 独立した監査が必要である
    米国公認会計士協会(AICPA)の認証基準を適用し、公認会計士(CPA)による審査を月に一度受けなければならない。

DFSは暗号資産関連業者がステーブルコインの発行を認可するにあたり、厳しい基準を設けている。具体的には、サイバーセキュリティと情報技術やネットワーク設計、関連する技術と運用上の考慮事項、銀行秘密保護法、マネーロンダリング法の遵守と対策、消費者保護、発行事業者のセキュリティと健全性、決済システムの安定性などだ。これらは運用リスクを幅広く考慮したものであるという。

DFSによると、現在基準下で規制されているステーブルコインは、Paxos Trust Company発行の「USDP」と「BUSD」、Gemini Trust Company発行の「GUSD」、GMO-Z.com Trust Company発行の「ZUSD」になるという。

Paxosについては、2021年に準備資産の内訳を公開し、96%が現金と現金同等物であるとして安全性を発表してきた。なおCircle社が発行するUSDコイン(USDC)は対象外としている。

今回のガイドラインは、先月価格が急落したステーブルコイン・TerraUSD(UST)を考慮し発表されたものと考えられる。

現在、各国でステーブルコイン規制に関する議論が進められている。日本においても先日、ステーブルコイン規制について盛り込んだ改正資金決済法が可決・成立した。

画像:Shutterstock

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