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Vol.6 リップル信者・鈴木 宙の「仮想通貨500万円が50万円になりました」

〜仮想通貨と夜の蝶〜

あれは、2015年の末頃だったと思う。知り合いの社長に、銀座の高級クラブに連れて行ってもらった。
店内に入るやいなや一際、目立つ集団がいた。
よく見れば30前後の男性客が5〜6人。高級ブランドスーツに身を固め、カタギでも半グレでもないような雰囲気だけは伝わってくる。
彼らの席の周りでは、空いたシャンパンボトルが並べられ、いったい何本のボトルを飲んでいるんだというくらいイエイ・イエイ・ウォウ・ウォウ盛り上がっていた。
僕も仕事柄、銀座、六本木、歌舞伎町はよく連れていってもらう。
しかしこんな飲み方する人たちって、ITバブルの頃、株やFXで儲けた成金的な人くらいしか見たことない。ごく普通に銀座で飲んでいる社長さんや芸能系の人は、お金持ちでもそんなお下品な飲み方はしない。
あのシャンパン並べてバカ騒ぎしている連中ってどんな奴らなのだ? 僕の席についたホステスさんに聞いたら、「あの人たち仮想通貨で儲けているらしいよ」と言う。
「仮想通貨」って、そんなに儲かるの? と、正直びっくりした。まだ当時はビットコインくらいしか世間で知られていない時期だ。
とはいえ、僕の親はバブル崩壊の時に株で大損をこき、また、周りでは十年くらい前ライブドアショックで破産した人も見てきただけに、投資には慎重な姿勢だった。
後から知ったが、この時は1リップルが0.3円とか0.5円だった(現在、記事執筆時点で1リップル約27円)。
それから2年後…リップルが2017年末には1000倍近くになるなんて、誰が予想ついただろう。
そして、そんな頃になって慌てて1リップルを300円近くで購入してしまった僕は、なんておバカさんなのだろうか。
銀座のクラブは、東京の中心地であり一部上場の社長や役員から、官僚から国会議員、そして新進のベンチャー企業の社長まで、多くの情報通、事情通が集まってくる。ある意味、情報の発信源だ。
しかも株や証券と違い、仮想通貨にはインサイダー取引も適用されない。
僕が指名していたホステスも、よく投資案件として仮想通貨を勧められると言っていた。でも、口座を開設するのが面倒だから、「仮想通貨はいいや」とのんきに構えていた。
いまは僕同様、その子もすごく後悔している。「あの時、お客さんの言う通りに買っておけば小さなお店だったら銀座に持てたわ」と生々しいことを言っていた。
あの頃、リスクを恐れずビットコインや、イーサリアム、リップル、カルダノ、ノアコインなどを購入していた人たちは、数十万円や数百万円の投資で、数千万や数億円を結果、稼ぐことになる。
2017年末に仮想通貨市場に参戦した「出川組」の僕も、そういう人たちの成功を見てしまい、慌ててビットコインやリップル、イーサリアムを購入。一瞬だけ含み益が出たが、その後の大暴落でタイトルにもある通り「仮想通貨500万円が50万円」になってしまった。
ここから数年は寝かせておいて、僕の仮想通貨資産は100万円や200万円にはなるか、0円近くになってしまうか分からないが、このままガチホするしか頭に浮かばない。
さて、話は銀座に戻るが、銀座が一部上場企業の社長や官僚が集まる場だとすれば、歌舞伎町や六本木のクラブやキャバクラに来る客は、その次に情報が集まってくる。中には眉唾物のもあれば、すごく説得力があるものもあったりする。トレーダーレベルの知識を持っていたりする子もいてびっくりする。
3年くらい前、歌舞伎町や六本木の高級店のホステスさんに仮想通貨の話をしても全然通じなかったが、今や職業を聞かれた時に「仮想通貨に投資している」と冗談で答えると「ビットコイン? リップル?」と銘柄まで聞いてくる子もいたりする。歌舞伎町や六本木のホステスさんまで話が通じるようになると、もう仮想通貨も広く一般的になってきた証拠だ。
最後に、これは1年前の夏エピソードを語りたい。銀座や六本木から約1時間。埼玉の大宮のキャバクラにたまたま行って仮想通貨の話をしたら「?」の子が多かった。まだ大宮には仮想通貨やビットコインのワードはギリギリ知っていてもほとんど話は通用しない。
しかし! 1人だけ、とんでもなく仮想通貨に詳しい子がいた。その子は、まだ儲けは出てないけど、300万円を草コインに投資していると言う。
「今さら、草コイン? しかも300万?」と思ったら、中国で商売しているキャバクラのお客さんが「某日本のセクシー女優のゲームを開発している中国の会社が、今度仮想通貨を出すから、ゲームが発売れたらコインは数十倍になる」と自信満々に言っていた。
確かに、そのセクシー女優は中国で人気があることで知られている。
投資額300万円が30倍以上になったら、約1億円。その子は、「1億円になったら2世帯住宅を建てて、高級車を買う」と自信満々に語っていた。そして店内で場内指名とボトルを入れたら、ICOで一緒に買いまししてくれるというのでちょっと高めの店だけど無理して注文した(計5万円也)。
しかし、怪しすぎるので結局、買わなかったのだが…。その子からは何度も、購入するようにLINEや電話が来た。これは仮想通貨ではなくマルチなのか、それくらいその子は熱心だった。
今日のコラムを書いて、そのことを思い出した。銘柄を忘れたのでGoogleで、その有名セクシー女優の名前と仮想通貨を検索したら、一つもヒットしなかった。あの投資話は一体なんだったのか? 
親のために2世帯住宅を建てると生き生きとした目で
豪語していたあの子は、今、何しているのだろう。

Profile
文◉鈴木 宙(すずき・そら)
埼玉県出身。
仮想通貨(暗号資産)に魅了されリップルに投資し、未だにリップルの可能性を追い求めているリップラー。
現在は月刊仮想通貨デジタルの記事編集、執筆を手掛けている。
最近になってTwitterを始めたとのこと。
アカウント→ @sora50050