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暗号資産マイニングジャンキーの明るい採掘計画 vol.7

ASICの正体を知るための基礎知識

暗号資産のマイニングをするための計算装置には、GPUとASICの2種類があります。
私はGPU派なんですが、今回は両者の違いについて解説していきます。

◆ASICとは何でしょうか

ASICとは、Application Specific Integrated Circuitの頭文字を取ったもので、日本語に訳すと特定用途向け集積回路となります。
はい、何が何だか分かりませんよね。
ひらたくいうと、ある目的のためだけに作られた計算機ですね。
暗号資産の場合には、ある特定の問題を解くことに特化するためにあります。
それぞれの暗号資産には、ブロックチェーンを接続するために、暗号が用いられています。取引の正当性や不可逆性(後戻りできないこと)が担保されています。
この問題を解く作業に参加して、報酬をもらうことが、このコラムで解説しているマイニングという作業です。
この問題にはいろいろな種類があるのですが、どの問題も最初は汎用的なマシン、つまりパソコンのCPUやGPUで解読が試みられます。
そうなんです。パソコンのCPUやGPUは、ASICとは真逆の、いろいろなことができる計算機というわけです。
なのですが、将来性があるなど有望な暗号資産があれば、世界のどこかの頭が良い人、お金儲けに長けた人が、その問題を解くことに特化した計算機を開発してしまいます。
これがASICで、CPUやGPUと違って、その問題を解く以外には何の役にも立ちません。
ただ、特化しているだけあって、GPUよりは圧倒的に高速で暗号を解くことができます。
よって、ASICが登場した暗号資産は、基準となる計算速度が爆発的に上昇し、もはやGPUでのマイニングが不可能となります。
GPUでは計算速度が遅すぎてまったく儲けが出なくなってしまうのです。

◆ASICの良し悪し

こう聞くと、「それならASICの方が良い、GPUなんていらない」、ということになりそうですが、そう簡単な話でもありません。
たしかにASICは爆速です。
しかし、本当にその暗号資産を掘る以外には何の役にも立ちません。。
これがGPUなら、パソコンでゲームをする際に必要だったり、今流行のAIの機械学習の計算に使えたりと、マイニング以外の用途もあります。
というか、マイニングで使うこと自体が実はイレギュラーです。
そして、ASICは世代交代が早いです。
対応するコインによっても変わりますが、2年も経てば完全なゴミになることが多いです。
現行機よりはるかに計算能力が高いものが開発されれば、古いものでは太刀打ちできなくなり、その時点でもう粗大ゴミになってしまいます。
これがGPUの場合なら、世代交代がかなり緩やかです。例えばGTX1060というGPUは2016年夏に登場しましたが、今でもそこそこマイニングができます。

◆今後のマイニング界隈

そもそも私がマイニングが好きなのは、市販されているパソコンパーツを組み合わせて動かすことで、自宅がお金生み出せるということ自体に魅力を感じているからです。
なので、ASICにはあまり興味が出ません。なんというか、色気がないんです。
だから、GPUでマイニングができる暗号資産がなくなったら、もう店じまいかなあとも思っています。
また、ASICによるマイニングは、GPUよりもずっと資本勝負になりがちです。
お金持ちが大量に機械を購入し、電気代が安い土地に工場をバンバン建てることで、実質的に暗号資産の世界は牛耳られてきました。
なので、イーサリアムやモネロなどは、ASICが作れないような複雑な暗号を実装しています。
ある特定の形があったり、単純だったりするからこそ、それ専用の機械が開発されるわけで、思いっきり難しくすることがASIC対策になるわけです。
とはいえ、暗号資産の時価総額70%以上を占める上位3コインのうち、ビットコインはASIC攻略済み、リップルはマイニング自体ができないので、GPUで掘れるイーサリアムが最後の希望なわけです。
でもイーサリアムもゆくゆくはマイニングができなくなるとされており、なんというかマイニングって、はかないですよね。
掘れるときに掘る。それだけです。

■コラム内コラム

今回のイーサリアムからモネロへの採掘コイン切替で、数日間家のマイニングリグを止めていたのですが、もう寒いのなんの。
たしかに現在の収益はひどいマイナスですが、将来的に値上がりするかもしれないコインを蓄積しながら、家を暖めていると思えば許せる気もします。
でもこのロジックだと「夏になったらどうするんだよ」という気はします。

◆2019年1月28日現在のマイニング収支

採掘報酬合計 ¥133,009

(ビットコイン:¥76,727
ジーキャッシュ:¥3,022
イーサリアム:¥52,711
レイヴンコイン:¥688) ※2 ※3 ※4
パーツ代合計 -¥672,552
電気料金合計 -¥214,000

合計 -¥753,543

1月のイーサリアムのハードフォークが影響したのか、メイン環境であるethOSでGPU1060の3GBという一番廉価なGPUが採掘できなくなってしまいました。
このGPUは全部で5枚あるため、さすがにそれが止まるのはもったいないため、現在は1号機、2号機ともにHive OSでモネロを掘っています。
収支については、黙秘させてください。

※1 2017年10月〜2019年1月28日までのマイニング収支を、2018年1月28日時点の市場価格による換算

※2 一般的なパソコンパーツではビットコインはマイニングできません。でも、NiceHashという、採掘したコインを最終的にビットコインで支払うサービスを2018年春までと、2018年9月に作成したマイニング2号機で使っていたため、ビットコインの報酬があります

※3 2018年11月に試験的にレイヴンコイン(RVN)を採掘してみました

※4 暗号資産の価格は、Googleのスプレッドシートと連動するアドオン、CRYPTOFINANCEで計算しています。