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仮想通貨マイニングジャンキーの明るい採掘計画 vol.2

なぜパソコンを自作するのか その1【GPUの数で勝負は決する・前編】

◆鹿内家で24時間営業中のマイニング自作PCを紹介

2018年夏バージョンのマイニングマシン。訴訟に発展しかねない、大量の熱と騒音をまき散らしながら昼夜兼行で採掘を続けているかわいいやつ。

 

こちらが、現在鹿内家で稼働しているマイニングのパソコンです。
メタルラックが三層構造になっており、中段にマザーボード(メイン基板)や電源ユニット(電気を配分する箱)を置き、下段と上段にそれぞれGPU(ビデオカード、グラフィックボード)を吊しています。
マイニングはとにかく熱との闘いなので、できるだけGPUを分散配置して、1ヵ所に熱がたまらないようにしないといけません。
ほぼ見切れている、右端にチラリと見えるのがサーキュレーター(送風機)です。
夏の間はこいつを24時間回し続け、付近の熱を散らします。
それでも、真夏にはマシンの周辺温度は大変なことに。

東京都内の自宅にて室温42℃をマーク。近づくだけで気絶しそうになります。これは7月下旬の写真なので、さらに暑かった8月のお盆前後は、もっとすごいことになっていたかも。

記録した中では、42℃にまでなったことがあります。ヨガ教室でも開業しようかと。
2018年の夏は特に暑かったですから、逆にこの夏を越せたことは自信につながりました。
ここからはだんだん涼しくなってきて、逆にマイニング機がヒーターの役割をする季節が到来します。

◆パソコンを作らざるを得ない理由

私が行っている自宅でのマイニングでは、特殊なパーツやプログラムは一切使っておりません。
全て誰でも買える市販のものを使って運用しています。
それならなぜ、わざわざパソコンを自作するのか。
今回のコラムでは、マイニングパソコンと普通のパソコンの違いについて、マイニングの仕組みを踏まえつつ、解説していきます。
ポイントは、
(1)GPUの数で勝負は決する
(2)ケースを使わない理由
(3)普通のパソコンでは重要なパーツも…
となります。
一つずついきましょう。

◆(1)GPUの数で勝負は決する・前編

機動戦士ガンダムの劇中で、主人公アムロが属する地球連邦軍と、地球圏を巻き込んで戦争をしているジオン公国。
そのジオンを牛耳っているザビ家の次男、ドズル・ザビが、長兄であるギレン・ザビに対して、こんなセリフを叫びます。
「闘いは数だよ、兄貴!」
高性能のモビルスーツを一機あてがわれるより、とにかくザクをたくさん回して欲しい…ドズルの本音ですね。

仮想通貨のマイニングにおいても、これと同じ考え方です。つまり、どれくらい儲かるか、どれくらい掘れるかは、GPUの数で決まるのです。
GPUとは、Graphics Processing Unitの略で、映像や画像を描画するための計算を得意とするパーツ。
ビデオカード、グラフィックボードなどともほぼ同じ意味で使われ、主に高精度のグラフィックを動かすためのゲーム用途で使われてきました。
仮想通貨のマイニングは、このGPUと相性が良いんですね。
GPUは並列的な処理が得意と言われています。
複数の簡単な計算を同時にワーッとやるのが得意なんですね。
仮想通貨のマイニングとは、ブロック同士をつなぐキーを探す単純な計算バトルなんです。膨大な組み合わせの中から、正しい答えを総当たり的な計算作業をひたすらしながら探すため、GPUの特性と相性が良いんですね。

本当はもっと難しい仕組みですよ。ただ、概念的にはだいたいこういう感じです。
よって、どれだけたくさんのGPUを動かせるかが、収益性に直結していくわけです。
実際のところ、私のような個人レベルではなく、専用の工場を用意し、特別な廃熱システムを備えているマイニング業者さんの話を聞いたことがありますが、たくさんのGPUやASIC(マイニング専用機器)を揃えて動かしている部分は同じでした。
ガンダム一機で勝負が決するのではなく、複数のザクやドムがそれぞれ動き続けることで、マイニングによる収益が生まれるんですね。

GPUをどれだけ揃えられるかで、収益性が決まってくるのがマイニングの世界なのです。

◆CPUはマイニングが得意じゃない

なお、CPU(Central Processing Unit)と呼ばれる、どのパソコンにも搭載されている、中央処理機関的なパーツでもマイニングはできますが、GPUと比べると収益性ははるかに劣ります。
これはCPUの得意な分野が、マイニングにあまり向いていないため。
CPUは、どちらかというと難しい計算をできるだけ速く解くのが得意で、例えばファイルの圧縮・解凍やmp3ファイルのエンコーディングはCPUの専門分野。
というか、もっと簡単に言うと、CPUだけではグラフィックの計算が追いつかないため、グラフィックに強いGPUを追加で搭載することで、ゲーム用PCとして成り立つわけです。
CPUとGPUは別の担当、と考えると分かりやすいですね。

取付前のCPUです。いずれこのコラムで解説しますが、できるだけ安価なものを使うのが正解です。

次回、GPUの数で勝負は決する・後編に続きます。

◆2018年9月17日現在のマイニング収支

最後に現時点でのマイニング収支を公開します。
採掘報酬合計 ¥169,020(ビットコイン:¥137,507 ジーキャッシュ:¥7,068 イーサリアム:¥24,445) ※1 ※2
パーツ代合計 -¥576,890
電気料金合計 -¥66,000

合計 -¥473,870

だいたい47万円くらいのマイナス収支です。
グラフで表すとこんな感じ。

絵に描いたような借金生活です。
でも、まったく動じません。なぜならこの収支、グラフは、今のレートでの結果だからです。
私がこれまでに堀り、今も保有している仮想通貨は、ビットコイン、ジーキャッシュ、イーサリアムですが、これらがそれぞれの過去最高値に今あると仮定した場合、合計収支は+¥114,768。
すでに10万円以上のプラス収支です。

私にとってのマイニングは、仮想通貨が超長期的に上昇することを前提にしており、滅多なことでは保有している仮想通貨を換金することはないため、今の時点でのマイナス収支は取るに足らないのです。

まあ、すでにプラス収支だったら、それはそれで精神的に健全ではありますが。

※1 一般的なパソコンパーツではビットコインはマイニングできません。でも、NiceHashという、採掘したコインを最終的にビットコインで支払うサービスを2018年春まで使っていたため、ビットコインの報酬があります

※2 仮想通貨の価格は、https://www.coingecko.com/jaのデータを参考にしています