2023.01.23
昨年破綻した暗号資産(仮想通貨)取引所FTXは17日、債務者に対して説明会を実施し、55億ドル(約7,160億円)の流動性が現在確保されているものの、大幅に資本が不足していることを公表した。
発表によると、17億ドル(約2,213億円)の現金や35億ドル(約4,560億円)相当の暗号資産、そして3億ドル(約390億円)相当の有価証券が手元にあることを確認した。
今回の説明会は昨年11月に提出されたチャプター11(米連邦破産法11条)のアップデートとして行われたものだ。資産回復努力のため最新の情報を債務者に対して報告していく一環として、経営陣のトップレベルとアドバイザーが債務者委員会等と面談したという。
この説明会において、FTXおよび米国法人であるFTX USの取引所に関連する暗号資産が大幅に不足していることが報告された。
FTXの債務者側より16億ドル(約2,080億円)の暗号資産が確認されており、その中で3億2300万ドル(約420億円)相当は第三者によってチャプター11の申立後に不正送金が行われ、4億2600万ドル(約555億円)相当はバハマ証券管理委員会のコールドウォレットに送金されたとしている。また、7億4200万ドル(約965億円)相当はFTX債務者のコールドウォレットの管理下にあり、1億2100万ドル(約157億円)相当はこのウォレットへ送金中だとした。
そしてFTX USに関連するものとしては1 億 8100 万ドル(約235億円)相当の暗号資産が確認されたと明らかにした。発表では、FTX USの顧客資産に関しても想定されていた以上に残高が少ないと報告されている。
FTX の暫定CEOであるジョン・J・レイ三世(John J. Ray III)氏は、「我々は資産の回収を最大化するための努力を惜しまず、重要な進展を遂げており、予備的な情報を明らかにするために多大なる調査に対して努力を必要とした」とコメント。また、「情報はまだ予備的なもので、変更される可能性があることは留意してもらいたい。追加情報が提供できるようになり次第アップデートしていく」と述べた。
FTXの資産回収については依然として不透明な点が多々あり、解決までに相当の時間を要する状況に変化はないものとみられる。
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