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ニューヨーク州の破産裁判所、バイナンスUSのボイジャー買収を承認

ニューヨーク南部地区裁判所が、暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)の米国法人であるバイナンスUS(Binance US)による暗号資産レンディング企業ボイジャー・デジタル(Voyager Digital)の買収を承認した。裁判所はバイナンスUSの支払い能力に問題がないと判断したほか、手元流動性にも余力があると確認した。

バイナンスUSによるボイジャーの買収については、米SEC(証券取引委員会)や複数の州などが異議を申し立てていた。

昨年12月、バイナンスUSは総額10億2200万ドル(約1,300億円)でボイジャーに対し資産買収入札を提示し落札。しかし、SECらは買収額があくまでもボイジャーによって算定されたものであり、バイナンスUSの支払いや運営能力を有しているか明らかにする必要があると主張していた。その際には、バイナンスUSが本社のバイナンスから支援を受けないと買収することができないとも指摘された。

こうした背景からバイナンスUSはボイジャーの資産購入には至っていなかったが、今回の裁判所による判断で買収に向けた動きが進展した形となる。

ボイジャーは昨年7月にチャプター11(米連邦破産法第11条)を申請して破産し、一時はFTXへ売却予定となっていた。その後、11月にはFTXが破綻し、売却は白紙に戻った。FTXはバイナンスUSを上回る14億2200万ドル(約1,810億円)でボイジャーの買収を行う見込みであった。

ボイジャーの弁護士は審問の中で、「CFIUS(米国対外投資委員会)が提起していた問題へ対応した」と述べた。ボイジャーは今後もCFIUSが本件の取引に懸念すべき点があると判断した場合、適切に対応を行なっていくとしている。

CFIUSは、海外からの米国企業に対する投資に関して、国家安全保障上の審査を行う部門である。今回はバイナンスが本社を明確にしていないことに加え、CEOであるCZ(Changpeng Zhao)氏の出生を巡って中国からの資金流入を警戒した可能性も考えられる。

また、昨年にはSECがバイナンスを調査していることが明らかになったほか、米司法省が同取引所の刑事告訴を検討していると判明したが、こうした情勢も影響したものと言えるだろう。

画像:Shutterstock

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