2022.12.06
大手暗号資産(仮想通貨)レンディング企業ネクソ(Nexo)は5日、今後数ヵ月で段階的に米国から撤退すると発表した。
ネクソはこの決定について、「米国の州および連邦政府の規制当局と1年半以上に渡って誠実に対話を続けてきたが、行き詰まってしまった」と説明している。その上で、「米国はブロックチェーンビジネスを可能とするための道筋を提供することを拒否しており、規制当局が顧客の利益に焦点を合わせるという信頼を顧客に与えることができないことは明らかだ」と述べ、規制当局の姿勢を批判した。
なお、米国からの撤退は秩序を持って行われるとしており、リアルタイムで出金を処理していく。ユーザーはこれまで通り自分の資産に支障なくアクセスできるという。
ネクソは暗号資産レンディングサービスや暗号資産担保ローン、独自トークンであるNexoの開発・運用等を行なっている企業。特に、最大36%の年利を謳う「Earn Interest Product(EIP)」というサービスが人気を集めている。
しかし、このEIPは有価証券に当たるとして、今年9月にカリフォルニア州やオクラホマ州、ケンタッキー州など8州がサービス停止命令および商品の排除命令を発表した。具体的には、EIPが有価証券として登録されておらず、必要な投資家保護およびリスク開示を行なっていなかったと主張している。
また、レティシア・ジェームズ(Letitia Jame)ニューヨーク州司法長官はネクソが未登録の証券や商品を販売したと主張し、「(ネクソは)ライセンスを受けて登録されたプラットフォームであると偽っている。これは法律と投資家の信頼に違反したものだ。違法な業務を停止し、投資家を保護するための必要な措置を講じる必要がある」と述べ、ニューヨーク州最高裁判所に訴訟を起こしていた。
一方で、ネクソは規制当局がそれぞれ自分たちの監督権限を主張していると述べている。
今月1日、消費者金融保護局(CFPB)がネクソのEIPを調査する管轄権があると発表。しかし、EIPは米証券取引委員会(SEC)や複数州の規制当局が管轄権を主張している。
また、ネクソは州や連邦規制当局と対話を続けていたにも関わらず、事前通知もなく訴訟を起こしたことについて「不意打ちだ」と批判している。
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