2022.11.21
エルサルバドルのナジブ・ブケレ(Nayib Bukele)大統領は17日、自身のTwitterを通じて、「明日(18日)から毎日ビットコイン(BTC)を1BTC購入していく」と発表した。
暗号資産(仮想通貨)取引所FTXの破綻に伴い、ビットコインをはじめとした暗号資産価格は下落している。これに伴い、エルサルバドルが保有するビットコインの価値も減少していることから、安値で購入することで平均取得単価を下げる狙いもあるものと考えられる。
エルサルバドルが最後にビットコインを購入したのは今年7月だ。その際、ブケレ大統領は1BTCあたり1万9000ドル(約267万円)で80BTCを購入したと明らかにしている。
エルサルバドルは昨年9月、ビットコインを法定通貨として採用した初の国として知られる。その後、ビットコインはさらに価格を伸ばし、11月には史上最高値を更新している。
しかし、2022年に入ると世界的なインフレに伴う金融引き締め強化やロシア・ウクライナをはじめとした地政学リスクの上昇等により、暗号資産市場は低迷。記事執筆時点でも1万6000ドル(約226万円)ほどで推移するなど、浮上に向けた糸口が見えていない状況だ。
それでも、ブケレ大統領はビットコインに対する強気な姿勢を崩していない。ブケレ大統領は14日、Twitterを通じて「ビットコインはFTXの真逆にいる。ビットコイン・プロトコルは、ポンジスキーム、取り付け騒ぎ、エンロン、ワールドコム、バーニーマドフ、サム・バンクマン・フリード(Sam Bankman-Fried)など…これらから人々を救うために正確に作成された」と述べた。
ブロックチェーン追跡サイト「Buy Bitcoin Worldwide」が公表しているデータによると、エルサルバドルは現在、2381BTCを保有しており、平均4万3357ドル(約610万円)で購入している。なお、2381BTCは記事執筆時点で約54億円相当の価値がある。
なお、今回のブケレ大統領の声明を受け、トロン(TRX)創設者のジャスティン・サン(Justin Sun)氏も同様に1BTCずつ毎日購入していくと発表した。
エルサルバドルのビットコイン関連政策については、国民の約80%が「公費を使うべきではない」と回答したことが同国で行われた調査によって明らかになっている。反対姿勢が強まっている中で、今回のブケレ氏による発表が今後エルサルバドル内でどのような評価を下されるかにも注目が集まるだろう。
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