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米CPIの結果受け暗号資産反発 FTXの破綻懸念が依然市場の重荷に

米労働省が10日発表した10月の米CPI(消費者物価指数)は前年同月比7.7%の上昇と、市場予想の7.9%を下回った。インフレのピークアウトの兆しでFRB(米連邦準備理事会)が金利引き締め緩和、利上げペースを減速させるとの見方が広がった。これに伴い、来月発表される11月分のCPIもさらに伸び率は鈍化する可能性が高まった。

12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げは0.75%を継続するとの予想もあったが、0.5%に緩和されるとの見方も強くなっている。

米CPIの発表を受け、10日の米市場では株高、金利低下が進んだ。ダウ平均は大幅反発し、米金利は3.8%台まで下がった。

NYダウ平均は前日比1201.43ドル(3.70%)高の33,715.37ドル、ナスダックは前日比760.97(7.35%)高の11,114.15、S&P500は前日比207.80(5.54%)高の3,956.37で終えている。

金融引き締め緩和の予想は暗号資産(仮想通貨)市場にも好影響を与えた。

一連のFTX騒動によって1万5000ドル(約212万円)割れも視野に入っていたビットコイン(BTC)は1万8000ドル(約255万円)台まで一気に上昇したが、現在は一服し1万7000ドル(約240万円)ほどで推移している。アルトコインも前日から盛り返している銘柄が多く見受けられ、暗号資産市場は全面高となっている。

中でも、10日に大きく価格を下げていたFTXの独自暗号資産FTXトークン(FTT)は前日比約40%上昇、ソラナ(SOL)も前日比約14%値を上げるなど、買い戻しの動きも各所でみられている。

利上げによる過度な警戒感が後退したことにより、株式市場と同様、暗号資産市場にとっても追い風が吹く状況になりつつあるが、依然として先行きが見えないFTXの動向が今後当面の焦点となりそうだ。

米国司法省がすでに調査を開始しているほか、バイデン政権もFTXの動向を注視しているとの報道がなされている。一方で、FTXは出金を一部で再開し、同取引所のステークホルダーであるシンガポール政府系ファンドのテマセク(Temasek)がFTXの救済に乗り出す可能性も浮上している。

12月のFOMCまでは雇用統計やCPIなど複数の重要経済指標の発表を控える。FTXの動向に加え、これらの指標が金融市場全体に影響を及ぼす可能性もあることから、予断を許さない状況はしばらく続くと言える。

画像:Shutterstock

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