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米NY連銀の市場責任者、デジタルドルは「決済時間短縮につながる」と言及

米ニューヨーク連銀の市場部門責任者ミシェル・ニール(Michelle Neal)氏が、シンガポールで行われた会合「シンガポール・フィンテック・フェスティバル」に参加した際のスピーチで、CBDC(中央銀行デジタル通貨)が「為替取引の決済時間を短縮することに有望である」という認識を語った。

FRB(米連邦準備制度理事会)では現時点でデジタルドルを発行する予定はないとした上で、金融システムに大きな利益をもたらす可能性を秘めていると述べた。

またステーブルコインや何らかの価値に裏付けられていない暗号資産(仮想通貨)については、近年急成長しているとの認識を示した上で、「独自のリスクが浮き彫りとなっており規制権限を持つ米規制局機関により、包括的で調整されたアプローチが必要である」と語った。テクノロジーが急速に変化する現在の環境では、金融システム安定化の確保のため、責任を持ってイノベーションを進めることが重要であるとしている。

また、ニューヨーク連銀は国際金融イノベーションを進めるため、ニューヨークイノベーションセンター(NYIC)を2021年に設立した。

NYICでは技術的な研究、実験、プロトタイピングが行われているという。特に「プロジェクト・シダー」と呼ばれるプロジェクトではCBDCに関する研究の第1弾が行われていると説明している。

この研究を通じて、ニール氏はCBDCが金融システムの主要部分にどのような恩恵をもたらし得るのかが特定できたと述べた。同氏によると、NYICは最初の調査分野として外国為替スポット取引の決済に焦点を当てたようだ。

外国為替スポット取引は国境を超えた決済において重要なものだとし、より長期かつ複雑な取引の基礎をなしていると説明。その上で、従来のこのような取引の決済には2日ほどを要するため、改善の余地があると指摘している。しかし調査の結果、CBDCでは平均して10秒未満で決済することが可能だとわかったという。

また、NYIC所長のペール・フォン・ゼロウィッツ(Per von Zelowitz)氏は第1段階のプロジェクトに関して、「決済インフラの近代化において、ブロックチェーンを応用することが有望であることが明らかになった。私達の最初の実験は、米国から見た貨幣と決済の未来に関するさらなる研究開発への戦略的発射台を提供したものだ」と述べた。

画像:Shutterstock

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