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FRB副議長、デジタルドルの発行は「ドルの地位守る上で重要」との考え示す

米連邦準備理事会(FRB)のラエル・ブレイナード(Lael Brainard)副議長は26日、米下院金融サービス委員会の議会証言で、米国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)となるデジタルドルに関して、「クロスボーダー取引の基準を決定するテーブルにつき、指導的役割を果たすことが非常に重要だ」と述べ、前向きに取り組むべきとの考えを示した。

同氏は、「他の国々が独自のデジタル通貨を発行するようになった今、米国がデジタル通貨を発行せずに、今までと同じような支配力を保てるかどうかを考えることは重要だ」と、急成長するデジタル通貨市場について危機感を露わにした。

さらに、「(基軸通貨である)ドルの世界的な地位を当然視することはできない」と強調し、このままでは世界の基軸通貨として終焉を迎えかねないという考えを強調した。

他議員からは銀行業への影響を懸念する意見も出たが、ブレイナード氏は「モバイル決済アプリが普及している今では、消費者が銀行口座を使わない決済方法に移行しつつある。銀行口座を作れない低所得層に金融サービスを提供することや、決済に関わる民間の技術革新を促すメリットもある」と説明した。また、「デジタルドルに金利を付けないことで銀行口座との差別化は図れる」など、銀行救済措置の方法についても言及した。

FRBは今年1月、デジタルドルの可能性や懸念事項に関して包括的にまとめた報告書を公表した。今月20日まで募集し、一般からの意見についても近日公表予定だ。

バイデン大統領は今年3月、デジタル資産の技術革新を促す大統領令に署名した。この大統領令では、暗号資産(仮想通貨)を含め、デジタル資産分野を米国が主導していくとの意思表示がなされた。実際にデジタルドルを発行するかどうかは米議会での議論も含め、まだ先の判断となる。

ブレイナード氏はこうした事情を念頭に、「金融システムの変化は早い。5年後を見通すのは非常に困難。だが、そこまで待てば実際に(CBDCを)ブランド化できるのはそのさらに5年後になってしまう」と述べ、意思決定の遅れはドルが基軸通貨としての地位を揺るがしかねないとの懸念を示した。

さらに、「我々は(ドルが)決済通貨として支配的であることから、大きな利益を得ている。国際的な決済において支配的な地位を維持することは重要だ」と改めて強調した。

ブレイナード氏は2月の講演で、すでに実証実験に入っている中国のデジタル人民元について触れ「国境を超えたデジタル金融取引の基準策定に影響を与える可能性がある」と警戒感を述べていた。

画像:Shutterstock

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