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コインベースの元従業員ら3名、史上初となる暗号資産のインサイダー取引で逮捕

米司法は21日、暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)の従業員およびその兄弟と友人をインサイダー取引容疑で逮捕したと発表した。

コインベースの元プロダクトマネージャーのイシャン・ワヒ(ISHAN WAHI)(32)と被告の弟であるニキル・ワヒ(NIKHIL WAHI)(26)を逮捕したものの、被告の友人であるサミア・ラマニ(SAMEER RAMANI)(33)は現在逃亡中であるという。

米司法省によると、暗号資産におけるインサイダー取引で逮捕者が出るのは初めてだという。

発表によれば、イシャン被告は上場予定の暗号資産に関して、弟と友人に情報を提供し不正利益を得たという。

イシャン被告は昨年6月から今年4月の間、コインベースに上場する予定の暗号資産の上場日に関する機密情報を弟と友人に漏洩。その情報を元に、ニキル被告とラマニ被告は約150万ドル(約2億円)の不正利益を得ていたようだ。

イシャン被告は2件の通信詐欺の罪、弟のニキル被告とラマニ被告は1件の通信詐欺共謀と1件の通信詐欺の罪で起訴される。それぞれ最高刑は20年となっている。

ニューヨーク南部地区連邦の検事であるダミアン・ウィリアムズ(Damian Williams)氏は会見で、「この事件はWeb3.0が無法地帯ではないことを知らしめるものだ。暗号資産市場に関わる史上初のインサイダー取引事件について発表する。この告発による我々のメッセージは明確だ。詐欺は詐欺であり、それがブロックチェーンで起ころうが、ウォール街で起ころうが詐欺は詐欺だ」と述べた。

イシャン被告は2020年10月頃からコインベースで勤務していた。暗号資産の新規上場関連部門に就き、コインベースがどの暗号資産を上場する予定であるか、いつ上場するかの公示の時期などについて詳細かつ高度な機密情報を取得していたという。被告はその情報を利用し、不正利益を得ていた。

ニキル被告とラマニ被告はインサイダー情報を得た後、匿名のイーサリアムウォレットを使用してコインベースが暗号資産を上場すると公示する前に特定の銘柄を取得し、上場発表後に売却して利益を得ていた。不正利益を得た暗号資産は25種におよび、そのうち6つは大量に購入していた。米証券取引委員会(SEC)は不正取引銘柄としてPowerledger(POWR)、Kromatika(KROM)、DFX Finance(DFX)、Amp(AMP)などを挙げている。

今回のインサイダー取引に関しては、著名な暗号資産ユーザーであるCobie氏が今年4月、「コインベースで上場公示の24時間前に数十万ドルのトークンを購入しているイーサリアムアドレスを発見した」とツイートし、その後コインベースも調査を行っていた。

画像:Shutterstock

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