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イエレン米財務長官と金融庁の中島長官が面談 ステーブルコイン規制で合意

来日しているジャネット・イエレン(Janet Yellen)米財務長官は13日、金融庁の中島淳一長官と面談した。

面談ではサステナブル・ファイナンスの推進や暗号資産(仮想通貨)、ステーブルコインに関する規制枠組みを含む課題について議論をした。今後、金融庁と米国財務省は二国間と国際的な会合において緊密に連携を続けていくことを確認した形だ。

この面談に先立ち12日、イエレン米財務長官は鈴木財務大臣兼内閣府匿名担当大臣(金融)と面会していた。バイデン政権の発足以来、イエレン氏の来日は初となる。

イエレン氏は5月、上院銀行委員会の会議に登壇し、規制に関する質問を受けた際、ステーブルコインの市場に与える影響に懸念を示した。米ドルからディペックしたステーブルコイン・TerraUSD(UST)が1ドルの価値を維持できなくなった事例を挙げ、ステーブルコインの規制について早急に対処すべきとの意見を述べていた。

また金融庁は5月、TerraUSDの価格崩壊について懸念し、ステーブルコインに対する規制強化の動きが世界で一気に強まっていることを挙げ、緊急に法を規制する動きに出た。海外に先駆ける形で、ステーブルコインを規制する国内初の法律となる改正資金決済法が6月3日に可決、成立した。

改正法では、ステーブルコインの規制、マネロンの共同監視システムの規制、高額送金が可能な電子ギフト券等のマネロン対策を強化する。さらに、この改正法ではステーブルコインの発行・管理をする「発行者」と流通を担う「仲介者」の役割が明確に分けられることになった。

発行は、規制と監督が届きやすい銀行や資金移動業者、信託会社に限定される。仲介者は登録制として、モニタリングなど従来よりも厳しいマネロン対策が求められる。金融庁は必要に応じて、事業者に立ち入り検査を実施し、業務改善命令などの行政処分を行う。

欧州でも金融システム安定の観点から、規制強化の動きが見られる。欧州中央銀行(ECB)は、機関投資家が保有するステーブルコインの増加、その価格と従来の金融商品との連動性が高まっていることからステーブルコインの金融システムに与える影響に警戒感を強めている。金融システムの安定維持の観点からステーブルコイン規制の議論が加速しつつある状況だ。

今回の米財務長官と金融庁の合意は、今後さらに世界基準のステーブルコインを含む暗号資産の規制枠組み策定を加速させていくと強調した格好となった。

画像:Shutterstock

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