2022.07.01
サム・バンクマンフリード(Sam Bankman-Fried)氏率いる暗号資産(仮想通貨)取引所FTXが、大手暗号資産レンディングサービス・BlockFiを2500万ドル(約33億8,000万円)で買収する見通しであることがわかった。先月30日、米CNBCが報じた。
BlockFiの評価額は昨年時点で約50億ドル(約6,756億円)とされていたが、今年6月時点で約10億ドル(約1,351億円)と、大幅に引き下げられた。今回報じられた買収額2500万ドルは、昨年の50億ドルと比較して40分の1の額となる。
CNBCによれば、今週中にも契約は締結される見込みだという。
BlockFiは債務超過に陥ったヘッジファンドThree Arrows Capitalに(3AC)多額のビットコイン(BTC)を融資していた。3ACは先月17日にBlockFiのマージンコール(追証金要請)に応じることができず、13億3000万ドル(約1,800億円)のポジションが強制清算されたと報じられている。その際にBlockFiも多額の損失を被った可能性がある。
3ACは融資担保として4億ドル(約540億円)相当のグレースケール・ビットコイン・インベストメント・トラスト(GBTC)を保有していた。GBTCは現在、ビットコインの純資産価値の34 %のディスカウントで取引されており、BlockFiがポジションの清算をした後、さらに下落している。
BlockFiは先月中旬、現在の市況を受け、850人のスタッフのうち20%を解雇することを発表。さらに21日には、FTXからクレジットファシリティ(信用供与枠)で2億5000万ドル(約337億円)の融資を受けている。
関係者によると、FTXは融資枠を設けた際の条件に、BlockFiの株式を実質0円で購入できるオプションが付随していたという。今回、その契約からわずか1週間後の買収劇となった。
FTXの広報担当者は「この件に関してコメントすることはない」と述べ、BlockFiのザック・プリンス(Zac Prince)CEOはTwitterで、「2500万ドルという数字は市場の噂」とツイートしている。
FTXの買収はBlockFiの株主に承認される必要があるが、ほぼ賛同される見込みだと伝えられている。株主にはBain Capital、Tiger Global、Valarといった大手ベンチャーキャピタルが名を連ねる。
FTXは先月27日にも証券売買アプリを提供する米ロビンフッド(Robinhood)を買収するとの報道がされているなど、「暗号資産の冬」と囁かれるこの時期に積極的買収を進めている。
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