2022.05.23
米リップル社は20日、炭素市場の規模拡大および強化を念頭に、炭素除去に取り組む企業や気候変動対策に取り組むフィンテック企業等へ1億ドル(約129億円)を投資すると発表した。この活動を通じて炭素除去活動を加速させ、炭素市場の刷新と規模拡大に貢献していくとしている。
今回の発表は、2030年、あるいはさらに早い段階で温室効果ガス排出量実質ゼロを実現するというリップル社の目標達成に向けて行われた。同社は、「付加的で長期的かつ、自然や科学に基づいた炭素クレジットのポートフォリオを構築する」と説明している。
なお、今回の投資資金はXRP Ledger(XRPL)上の主要なNFT(非代替性トークン)として、炭素クレジットのトークン化を可能にする新機能および開発者向けツールにおけるサポートの継続にも充てられるという。
リップル社は現在の炭素市場について、供給のボトルネックや市場参入の遅れに加え、高品質かつ検証可能な商品の不足などにより、爆発的に増加する需要に対して供給が追い付いていないと指摘する。気候変動に関して世界規模で目標を達成するためには、炭素市場におけるプロジェクトの検証と認証に向け強化されたメカニズム、そして価格と市場データの透明性の向上、買い手と売り手双方のためのインフラの改善が必要だと語る。
その点、暗号資産(仮想通貨)およびブロックチェーンは透明性、検証、拡張性という特質を持ち合わせており、市場の成長や有効性に対する多くの障壁に対処することが可能だと述べる。
米リップル社のCEOであるBrad Garlinghouse氏は、「リップルの1億ドルにおよぶコミットメントは、革新的な技術、戦略的資本、人材などのリソースを気候変動への対策に充てるという世界中の企業に求められている呼びかけに応じるものだ。排出量を削減し、低炭素の未来に移行することは最重要課題だが、炭素市場の活性化もまた、気候変動目標の達成において重要だ」とコメント。
さらに、「ブロックチェーンと暗号資産は、断片的で複雑な市場にさらなる流動性と可視性をもたらすことで、炭素市場の可能性を最大限に発揮させることができると考えている」と述べ、優位性を語った。
リップル社は2020年、2030年までにカーボンニュートラルを達成する計画を発表。同年にはエネルギーウェブ財団やXRP Ledger Foundationなどの独立系NGOパートナーと協力し、XRPLを脱炭素化した。
なおリップル社によれば、現在の状況が続けば2028年までにカーボンニュートラルを達成できる見込みだという。
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