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岸田首相、「インベスト・イン・キシダ」でWeb3.0推進を表明

岸田文雄首相が5日、世界最大の金融街である英国・シティの市庁舎「ギルドホール」で講演した。自らの経済政策「新しい資本主義」について演説をした形だ。

9年前の2013年6月、当時の安倍晋三が同じ場所で「アベノミクス」を売り込んだが、今回、岸田首相は「インベスト・イン・キシダ(Invest In Kishida:岸田に投資を)」と日本への投資を訴えた。

投資家に向けた演説の冒頭では、「日本経済はこれからも力強く成長を続ける。安心して日本に投資をしてほしい」と呼びかけた。

岸田首相は「初めての銀行界出身の首相」と自己紹介し、自身の掲げる「新しい資本主義」について、「一言でいえば資本主義のバージョンアップだ」と説明した。そして官民連携を掲げ、「1、人への投資」「2、化学技術・イノベーションへの投資」「3、スタートアップ(新興企業)投資」、4番目に「グリーン、デジタルへの投資」を挙げ、これらを4本柱と位置づけた。

デジタルへの投資について、「官民双方でデジタルトランスフォーメーション(DX)を積極的に推進する。ブロックチェーンやNFT(非代替性トークン)、メタバースなどWeb3.0の推進のための環境整備を含め、新たなサービスが生まれやすい社会を実現する。テクノロジーの進展に合わない制度や規制は大胆に見直す。デジタル庁で4万以上のアナログな規制を洗い出し、3年間で一気に見直す大改革を進めている」と強調した。

自民党のデジタル社会推進本部が3月に発表したデジタル施策に関するホワイトペーパー「デジタル・ニッポン2022」では、NFTを「Web3.0の経済的起爆剤」と位置づけている。Web3.0のメタバース市場は数年で1,000兆円を超える成長を見せると予測している。

また、Web3.0関連のスタートアップが予想されるが、岸田首相は「戦後に次ぐ第2の創業ブームを起こす」とし、若者たちが躊躇なくスタートアップに飛び込んでいける環境整備を行うとした。国内外のベンチャーキャピタル(VC)の誘致と海外VCへの公的資本参加、個人金融資産と年金積立金管理運用独立行政法人(GRIF)などの長期運用資金もベンチャー投資に回すという。

岸田首相はデジタル改革に積極的な方針を打ち出しており、昨年12月には「デジタル田園都市スーパーハイウェイ」を構築すると発表している。回線網たけでなく、海底ケーブルと大規模データ、光ファイバー、5Gなどの施設と技術を組み合わせて通信インフラ整備を行う。

その延長にあるのが、今回表明したWeb3.0への積極的投資だ。前出のデジタル社会推進本部が岸田首相に「Web3.0を成長戦略の中心とするべき」と進言していたが、それを受けての発言となった。

さらにその経済的成長の中で岸田首相は「資産所得倍増計画」を進めるという。日本の個人金融資産2,000兆円を投資に回すことを促し、資産を米国や英国なみに2倍から3倍に増やすという計画を立てているという。

画像:Shutterstock