2022.04.22
ゴールドマン・サックスのCEOであるデビット・ソロモン(David Solomon)氏が今年3月、大手暗号資産(仮想通貨)取引所FTXの創業者サム・バンク・フリードマン(Sam Bankman-Freed)氏とカリブ海で会談し、協業ついて提案していたことがわかった。21日、Financial Timesが報じた。
報道によると、協業に関する話しのほかに、ソロモン氏がCFTC(米商品先物取引委員会)の動向についてもアドバイスを行ったという。FTXは過去、CFTCに対しレバレッジを掛けた暗号資産先物を、金融ブローカーの仲介なしに直接販売できるよう要請を提出したことがある。
また、FTXが将来的にIPO(株式公開)する際、ゴールドマン・サックスが幹事になれるかどうかについて議論を交わしたようだ。
ゴールドマン・サックスは、暗号資産業界のスタートアップとの関係構築に注力している。昨年4月、大手暗号資産取引所コインベース(Coinbase)がナスダックに上場する際に主要な役割を果たしたとされている。コインベースはIPOの際に時価総額は850億ドル(約10兆8,800億円)まで達した。
ゴールドマン・サックスの関係者によると、バンクマン氏は現在のところ短期的な資金調達ラウンドを検討しており、FTXを上場させるかどうかは最終決定していないという。
これらの話をした上で、ソロモン氏はゴールドマン・サックスがFTXと将来的に協業できるかどうかについて議論を行ったようだ。どのような提携が実現するのかは不透明だが、マーケットメイキングにおいて可能性を探っていくとのこと。
マーケットメイクとは、取引所から指定された値付け業者(マーケットメイカー)が常時「売り」と「買い」の気配値を提示して投資家の売買を成立させる方法。東京証券取引所のETFなどに取り入れられている。
FTXの企業価値は320億ドル(約4兆955億円)にのぼり、Credit SuisseやDeutsche Bankといった大手金融の時価総額を上回った。
昨年、バンクマン氏はFTXが世界最大の暗号資産取引所に成長した場合、大手金融機関の買収も視野に入れていると語っていた。
またゴールドマン・サックスは2018年、ビットコイン先物を取引する暗号資産トレーディングデスクを設置した最初の銀行の1つとなったが、その後ユニットは閉鎖。しかし、昨年3月に復活させると、その後は暗号資産分野に積極的な姿勢を見せており、同年7月には暗号資産関連ETFの申請も行っている。
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