2022.03.02
国内における暗号資産(仮想通貨)の自主規制団体である日本暗号資産取引業協会(JVCEA)は1日、自主規制規則におけるトラベルルール対応についての資料を公表した。
2022年4月1日から暗号資産取引所が利用者から依頼を受けて行う暗号資産の移転取引について、トラベルルール等の新しい規制が同協会の自主規制規則により導入される。
トラベルルールとは、FATF(金融活動作業部会)がマネーロンダリングおよびテロ資金供与対策として定めたもので、利用者の依頼を受けて暗号資産の送付を行う暗号資産交換業者が、送付先となる受取人側の暗号資産交換業者に通知しなければならないというものだ。同ルールは、FATFが各国の規制当局に対して導入を求めている。
テロリストを含む犯罪者が自由に電子的な資金移転システムを利用することを防ぎ、不正利用があった場合にその追跡を可能とすることを目的としている。
JVCEAはトラベルルールについて、「世界的に見ても全く新しい規制であり、その実施に向けて技術的にも課題が多い」と指摘する。そのため、同協会は金融庁からの要請を踏まえ、法改正に先立ち協会の自主規制規則においてトラベルルールを導入し、その課題を解決していくと述べている。
具体的には、「暗号資産関連交換業に関するマネーロンダリング及びテロ資金供与対策に関する規則」に新たな規定(第6条第2項から第13項まで)を設けることにより導入する。
トラベルルールに加え、暗号資産移転取引に関する情報を取得し、その取引のリスクを評価する義務が、新たに定める規定に盛り込まれることとなった。
暗号資産移転取引に関する会員の義務についての規定は2022年4月1日から効力が生じる。一部の規定は10月1日から、またはトラベルルールを規定する法令が施行される日から適用される。
具体的には、利用者の依頼を受けて暗号資産の送付を行う暗号資産交換業者は10月1日より以下の情報取得義務が発生する。
4月1日から本施行日までは、この情報取得義務は努力義務として扱われるという。
また、経過規定により、4月1日から同施行日までは、「要通知取引」のうち、以下の要件を全て満たす取引についてのみ通知義務が課せられる。
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