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    拡大が止まらないFilecoin(ファイルコイン)のエコシステム

    Filecoin(ファイルコイン)は、2020年10月にメインネットを稼働開始してから約1年が経過した。暗号資産であるFILの価格は上がり、4月には2万5,000円を超え、暗号資産時価総額順位においてトップテン入りを果たすなど、着々と需要が高まっていることをうかがわせる。しかし、それとは裏腹に盛り上がりきれない関係者もいる。

    今回の記事では、2021年9月28日時点の状況に基づき、Filecoin(ファイルコイン)が現在どうなっているのかに注目していく。

    Filecoin(ファイルコイン)のネットワーク状況

    メインネットのローンチから約5ヶ月経った2021年3月27日時点のデータと、9月28日現在のデータを比較すると、Filecoin(ファイルコイン)のネットワークが順調に拡大していることがわかる。以下は、Filecoin(ファイルコイン)の統計を公開しているFilfoxからの情報だ。

    2021年3月27日時点のデータ
    2021年9月28日時点のデータ

    Filecoin(ファイルコイン)ネットワークに提供されているストレージ容量は、この半年で10EiBの大台を超え、11.57EiBを突破した(Network Storage Powerの値参照)。3月27日には3.61EiBであったため、半年で約3.2倍にも容量が増えたことになる。

    そして、マイナーの数も約2倍にまで増加した。これに伴い、マイナーが得られる平均ブロック報酬は減少している(24h Average Mining Rewardの値参照)。Filecoin(ファイルコイン)では、時間あたりでマイナーに払い出されるFILの数量が決まっているため、マイナーの新規参加が進んだことで、マイナーあたりの取り分が減少した。具体的には、3月27日は1日あたり0.0955FIL/TiBのマイニング報酬が得られていたのに対し、9月28日は0.0278FIL/TiBと、29.1%減となった。

    報酬が減少する一方、マイニングコストは改善された。3月27日では、1TiB分のデータをストレージに入れてFILを獲得するには、初期コストとして15.49FILが必要になっていたが、9月28日時点では5.24FILとなっている。半年前のFIL価格は約130ドル(約1万4,300円)で、1TiB分をマイニングするためにマイナーが調達しなければいけないFILは2,013.70ドル(約22万1,000円)であった。しかし現在は1FIL=約58.5ドル(約6,500円)と一時的に価格が落ち着いたことに加え、初期コストも減少したため、306.26ドル(約3万4,060円)の調達で済む。マイナーは新たにハードウェアを調達したり、それを運用するための経費を支払うこともあるが、総合的に見ればマイナーへの負担は軽減されていると言える。

    ユースケースが着実に増加

    Filecoin(ファイルコイン)を用いたユースケースは徐々にであるが登場している。Filecoin(ファイルコイン)の革新はデータの保存方法にあるため、エンドユーザーはその変化を感じることはないし、目に見えにくい分どうしても地味なものである。しかし、変化は着実に起こっている。

    Fleek

    Fleekは、分散型Webを構築するための枠組みを提供しているサービスである。ユーザーは、WebサイトをIPFS、もしくは分散型コンピューティングのインターネットコンピューター上に展開することができるようになっている。そして、アーカイブはFilecoin(ファイルコイン)で構築されたIPFS上に保存される。これにより、止まらない、かつ万が一のことが起きても復旧可能なWebサービス提供が実現できるようになる。

    Space

    Spaceは、オープンソースのファイル保存と共有のためのプラットフォームである。この手の既存サービスは、Google DriveやiCloud Driveに相当する。Spaceのデータ保存にはIPFSが使われ、データのバックアップにはFilecoin(ファイルコイン)が利用される。また、IPFSの特性により、重複ファイルが排除されるため、無駄に容量を消費することがなくなり、ストレージ全体の効率が向上する。通常、この手のサービスは特定企業が提供するのでアカウント停止等の権限は企業が有している。一方で、Spaceではユーザーのアカウントはイーサリアム上に関連付けられ、Space側が制御できないようになっている。つまり、データの制御権は完全にユーザーが握ることになる。

    いずれのサービスでも、Filecoin(ファイルコイン)は永続的にデータを保存する用途に使われる。これは、必ず寿命がくる従来の企業では実現できなかったことだ。もともと、Filecoin(ファイルコイン)は永続的なデータ保管を主目的にしていたため、今後もこのような用途活用事例が増えていくことだろう。

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